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2020年度 問題17 電気通信事業法・電子消費者契約法・割賦販売法(正誤○×)その1(一般公開中)

17.次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 電気通信役務提供契約の勧誘に先立ち、一定の固定通信役務を提供する電気通信事業者が、消費者に対して、自己の氏名・名称又は当該契約の勧誘であることを告げないまま契約締結を勧誘する行為は、禁止行為として電気通信事業法に明示されている。

② 改正前の電子消費者契約法では、電子消費者契約は、事業者が承諾通知を発信したときに成立すると規定していたが、契約の成立に関する発信主義を削除した 2020(令和2)年4月1日の改正民法の施行と同時にこの規定は削除された。

③ 電気通信事業法によれば、総務大臣の指定を受けた電気通信事業者が、利用者がスマートフォンを購入するに際し、移動電気通信役務の利用料金を割り引く旨を約束することは、禁止されている。

④ クレジットカードを利用して翌月一括払いの方法で購入した4万円のブランド品が偽物であった場合、消費者はカード発行会社に対して割賦販売法に基づく支払停止の抗弁を主張することはできないが、消費者からこのことについて苦情の申し出を受けたカード発行会社は、同法上、苦情の内容をアクワイアラーに通知する義務を負う。

⑤ 包括信用購入あっせんを利用して通信販売により商品を購入した場合、割賦販売法上、通信販売業者は、消費者から書面交付の請求がない限り電子データで契約に関する情報を提供すればよいが、包括信用購入あっせん業者は、消費者の事前の承諾がない限り、契約書面の交付義務を負う。

⑥ 店舗取引を行うクレジットカード加盟店は、割賦販売法の求めるカード番号等の不正利用防止策として、磁気ストライプカード読み取り及び自署を求める方式か、カードの IC チップ読み取り及び暗証番号の入力を求める方式のいずれかを処理する端末の設置に努めること、とされている。

⑦ 包括信用購入あっせんを利用して通信販売により 10 万円の商品を購入した後、「商品受領後 20 日間は返品に応じます」という特約に基づき解約返品を行った場合、購入者は包括信用購入あっせん業者に対し、割賦販売法に基づく支払停止の抗弁が主張できる。

⑧ 翌月一括払いのクレジットカード決済を利用したインターネット上の取引において、日本国内に事業所を有しない海外のアクワイアラーと国内の決済代行業者を経由するとき、この決済代行業者が実質的な加盟店契約締結権限を持つこととなる場合は、決済代行業者は、割賦販売法上の登録を受けたうえ、同法上の加盟店調査措置義務を負う。

⑨ 訪問販売業者A社が、B社の個別信用購入あっせんを利用して消費者に同種の商品を次々と計3回販売を行った結果、3回目で通常必要とされる分量を著しく超えた。割賦販売法によると、A社がこのことを知っていた場合、消費者は、過量販売を理由にB社との個別信用購入あっせん契約を3件とも解除して3件分の代金全額の返金を求めることができる。

解説

割賦販売法という分割払いに関する法律問題ですが、最も難しい分野ではないかと思うほどの難問ぞろいです。相談現場でもクーリングオフや商品が届かないなどの場面で割賦販売法が出てくる場面もありますが、手続等の表面的なことがメインで、法律解釈などの細かいところは信販会社にまかせることが多いので、実際に条文を使いこなすような実務はありません。あるとすれば、クーリングオフの通知をはがきで出すときに、クレジット会社にも同時に出しておくというアドバイスです。

ただし、割賦販売法は消費者法務の中では切っても切れない法律なので必ず出題されます。旧試験では正誤×選択10問で5割の得点を目標としていましたが、新試験になって、全体の問題数が減ったことから、割賦販売法の問題数も減りました。ありがたいことですが、難易度は変わっていませんので、割賦販売法自体の目標は半分の5割です。そして、2019年度試験からは単純正誤問題になりました。通常、正誤×選択から単純正誤問題に変わると、難易度が下がるのですが、2019年度試験では、本試験は取りやすく、再試験では難しい問題となりました。2020年度試験も難しかったです。

新試験になってから、割賦販売法単独の大問題ではなく、電気通信事業法・資金決済法・電子消費者契約法など、他の分野との合体で10問構成になっていました。その中で割賦販売法は7問出題されていましたが、30年度試験は全体が10問から9問に減ったので、その分割賦販売法が6問になっています。2019年度・2020年度試験でも6問だったので、今後も、このまま単純正誤になるのではないかと思います。

これまでの出題形式は「正誤×選択」だったのですが、2019年度試験以降の出題形式は「単純正誤」問題に変わっています。つまり、易しくなっているということです。とはいえ、割賦販売法は難しいのは変わっていません。

割賦販売法の出題ポイント

相談現場でもありそうな事例が問題になっています。たいていは過去問で出題されているので、過去問解説で詳しく説明しています。

電気通信事業法

電気通信事業法は相談現場でもトラブルの多い、ケーブルテレビや光回線、携帯電話の通信契約等を規制する法律です。

旧試験では、条文から出題されるとかではなく、一般的な電気通信事業の契約トラブルや使い方などの問題が出題されていましたが、ちょうど新試験のころに、初期解除制度という大きな改正がされ、それ以降は、条文自体も重要になってきました。

ただし、出題論点は決まっているので、過去問対策になります。法改正があれば、それも要チェックです。

ポイントは2つの法改正

資金決済法

28年度と29年度に出題されて、30年度は出題されませんでしたが、30年度は問題4④の5選択肢2択で出題されました。2019年度以降からは、この大問題ではなく、穴埋などほかの分野で出題されていますので、今後も対策は必要と思います。

以前は前払式支払手段などが出題されていましたが、最近は仮想通貨です。そして、今後は仮想通貨も引き続き出題されつつ、QR決済も必要です。

電子消費者契約法 ※民法改正がらみで重要

相談現場でも重要な法律です。非常に短い法律なので、論点は決まっており、過去問対策でOKです。条文自体は読みにくいので考え方を覚えてください、と2019年度までは解説していましたが、2020年4月1日の民法債権法の改正で法律の名称も変わり、内容も変わっています。2020年度でも早速改正論点が出題されました。今後も、必須勉強分野になります。

法律の正式名称変更

省略名は同じ「電子消費者契約法」
(旧)電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律
(新)電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律

電子消費者契約法(電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律)のポイント

  1. 事業者・消費者間の電子消費者契約における消費者の操作ミスによる錯誤に関して、民法第95条の特例措置(第3条)
  2. 電子承諾通知に関して、民法第526条等の特例措置(第4条)← 削除(2020年民法改正による)

※民法改正によって2020年4月1日より第4条は削除され法律の名称も変わりました※

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https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/

電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律
電子商取引における消費者の保護等を目的とした「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」(平成13年6月29日法律第95号)が平成13年12月25日から施行されております。

この法律には、

事業者・消費者間の電子消費者契約における消費者の操作ミスによる錯誤に関して、民法第95条の特例措置(第3条)
電子承諾通知に関して、民法第526条等の特例措置(第4条)
の規定が設けられております。

※民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が施行され、民法における隔地者間の契約の成立時期が「承諾の通知を発した時」から「相手方に到達した時」に変更になったこと(民法第526条第1項の削除)に伴い、令和2年4月1日より、上記の「電子承諾通知に関する民法第526条等の特例措置」は削除となり、法律の題名も「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」に変更となりました。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/

2020年度(本試験) 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問/9問中

過去問

2019年度(本試験) 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問/9問中

2019年度(再試験) 難易度(A易、B普通、C難)目標:5問/9問中

2018年度(平成30年度) 問題16 電気通信事業法・電子消費者契約法・割賦販売法(正誤×選択)目標:5問/9問中

2017年度(平成29年度) 問題15 電気通信事業法・資金決済法・割賦販売法(正誤×選択)目標:5問/10問中

2016年度(平成28年度) 問題18 電気通信事業法・資金決済法・割販法(正誤×選択)目標:6問/10問中