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2024年度 問題11 消費者契約法(正誤×選択)その1

11.次の文章のうち、下線部が2ヵ所*とも正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄にマークしなさい。
*誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。
※以下は、消費者契約法に関する問題である。

① 「消費者契約」とは、㋐消費者と事業者との間で締結される契約をいう。労働契約には、消費者契約法が㋑適用される

② 事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確かつ平易なものであるよう配慮する㋐努力義務を負う。一方、消費者は、消費者契約の締結に際し、㋑契約の内容を理解するよう努めるものとされている。

③ 事業者による不利益事実の不告知を理由として契約を取り消すためには、事業者が重要事項について消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について消費者の不利益となる事実を㋐故意又は重過失により告げなかったことが必要である。不利益となる事実に該当するか否かは、㋑一般的・平均的な消費者を基準に判断する。

④ 不実告知を理由とする取消しにおける「重要事項について事実と異なることを告げること」のうち、「事実と異なることを告げること」とは、告知の内容が㋐客観的に真実又は真正でないことを意味する。消費者契約の必要性を基礎付ける事実は、ここにいう「重要事項」に㋑含まれない

⑤ 霊感等による知見として、そのままでは重大な不利益を回避できないとの不安をあおる勧誘により締結した消費者契約は、取り消すことができる。契約の目的となるものが重大な不利益の回避のために必要である旨の告知を繰り返したり、強い口調で告げたりして強調する場合は、不安をあおる勧誘に㋐該当する。将来生じうる不利益は、ここにいう不利益に㋑含まれる

⑥ 事業者Aが事業者Bに対して消費者契約締結の媒介を委託したところ、Bが消費者に対して不実告知を行った場合、消費者は、Bの不実告知を理由に当該消費者契約を㋐取り消すことはできない。事業者Cの代理人DがCに代わって消費者契約を締結する場合、Dによる不実告知は、Cがしたものと㋑みなされる

⑦ 過量契約を理由とする取消権は、追認をすることができる時から㋐1年間行使しないときは、時効によって消滅する。当該契約の締結の時から㋑5年を経過したときも、同様である。

⑧ 事業者の債務不履行により生じた損害を賠償する責任の全部を免除する消費者契約の条項は、原則として㋐無効である。有償の消費者契約で、引き渡された目的物の品質に契約不適合がある場合に、事業者が不適合の程度に応じて代金を減額する責任を負う旨が定められているときは、事業者の責任の全部を免除する条項は、㋑有効である。

⑨ 消費者と事業者の間で締結された契約の解除に伴う損害賠償の額を予定する条項について、㋐当該事業者の業界全体における平均的な損害額を超える部分を無効としている。最高裁判所の判例によれば、平均的な損害額についての立証責任は、基本的には㋑消費者が負うとされている。

⑩ 事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して、不当な勧誘行為を㋐現に行い又は行うおそれがあるときは、適格消費者団体は、当該勧誘行為の差止めを請求することができる。当該勧誘行為に利用された勧誘マニュアルの廃棄は、差止請求の対象に㋑ならない

2024年度 問題11 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/10問中

解説

2021年度までは、問題の前提に「※以下は、消費者契約法に関する問題である。」とありました。例えば、民法で解釈すると違う回答になる場合でも、消費者契約法で解答するという意味になると思います。特定商取引法でも同じです。民法の特別法なので重複適用されることがあります。過去に重複適用で悩む問題がありました。2022年度は消費者裁判手続特例法が出題され、消費者契約法ではないので、注釈がなくなりましたが、2023年度も同様に消費者裁判手続特例法が出題されたので、注釈がなくなりました。2024年度は消費者契約法の問題だけだったので、元の説明に戻りました。

消費者契約法では大きく3つの事項が規定されています。①不当な勧誘行為による契約の取消し②不当な契約条項の無効③消費者団体訴訟制度(差止請求)です。このうち①が最も出題されていますが、定義問題も含めてバランスよく出題されています。特に、取消しできる類型が法改正で追加されたことから、法改正論点で多くの問題を作ることができます。

【出題形式の変化】2021年度試験で大問題2つが1つに合体されました

消費者契約法の改正

【受験要項より引用】
※第1次試験問題における出題の根拠となる法令等は、当該年度の5 月1 日時点で施行されているものです。ただし、既に公布され、施行を控えた法律の内容について、その概要に関して問う問題が出題されることがありえます。

http://www.kokusen.go.jp/shikaku/shikaku.html

消費者契約法の改正(令和4年6月1日公布、令和5年6月1日施行)後の困惑類型のまとめ

※第3号・第4号に追加されたため、従来の号が2つ繰り下げ
※第9号での取消しできる内容が追加

  1. 不退去(第4条第3項第1号)
  2. 退去妨害または監禁(第4条第3項第2号)
  3. 【追加③】勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘(第4条第3項第3号)
  4. 【追加③】威迫する言動を交え、相談の連絡を妨害(第4条第3項第4号)
  5. 【追加①】社会生活上の経験不足の不当な利用(不安をあおる告知)(第4条第3項第3号)(第4条第3項第5号)
  6. 【追加①】社会生活上の経験不足の不当な利用(好意の感情の不当な利用)(第4条第3項第4号)(第4条第3項第6号)
  7. 【追加①】加齢等による判断力の低下の不当な利用(第4条第3項第5号)(第4条第3項第7号)
  8. 【追加①追加②】霊感等による知見を用いた告知(第4条第3項第6号)(第4条第3項第8号)※【追加②】霊感商法への対応
  9. 【追加①追加③】契約締結前に債務の内容を実施等(第4条第3項第7号)(第4条第3項第9号)※【追加③】契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難に
  10. 【追加①】契約締結前の事業活動による損失補償の請求(第4条第3項第8号)(第4条第3項第10号)

※【追加①】の6個の困惑類型は平成30年改正(令和元年6月15日施行)で追加
※【追加②】の1個(内容追加)の困惑類型は令和4年改正(令和5年1月5日施行)で追加
※【追加③】の3個(2個は新規で1個は内容追加)の困惑類型は令和4年改正(令和5年6月1日施行)で追加

過去問

2024年度 問題11 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/10問中

2023年度 問題11 難易度(A易、B普通、C難)目標:7-8問以上/10問中

2022年度 問題11 難易度(A易、B普通、C難)目標:6-7問以上/10問中

2021年度 問題12 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/10問中

2020年度 問題13 難易度(A易、B普通、C難)目標:3問以上/5問中

2020年度 問題14 難易度(A易、B普通、C難)目標:3-4問以上/5問中

2019年度(本試験) 難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/7問中

2019年度(再試験) 難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/7問中

平成30年度 難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/7問中(★頻出☆重要実務)

平成29年度 難易度(A易、B普通、C難) 目標:4問以上/7問中(★頻出☆重要実務)

平成28年度 難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/7問中

(正誤×選択)毎年、ほぼ3択のところ、28年度試験は、3択が4問、2択が3問となっていますので、難易度は下がっています。基本的な問題も多いですが、それでも、なかなか正解するのは難しいかもしれません。半分の4問以上を目標にしてください。