2019年度(再試験) 問題11 民法 (正誤×選択)その1(一般公開中)

11.次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。
※以下は、現行民法(2017(平成29)年改正前の民法)に関する問題である。

① 未成年者であることを理由に契約を取り消すことができる場合、㋐法定代理人に限り取り消すことができる。契約が取り消された場合、未成年者は、㋑その契約によって現に利益を受けている限度で返還の義務を負う。未成年者が法定代理人の同意を得ずに贈与を受けた場合であって、その贈与契約が負担付きのものでないときは、㋒法定代理人はその贈与契約を取り消すことができない

②「契約自由の原則」は近代民法の基本原則であり、㋐私的自治の原則の中心をなすものである。契約自由の原則を強調しすぎると弱者の権利が害されてしまう。民法は、契約自由の限界を画する規定として民法第90条を置き、 公序良俗に反する法律行為を㋑無効とした。この例として、㋒暴利行為が挙げられる。

③ 動産の譲渡人が無権利・無権限であっても、その者との有効な取引によって、 ㋐平穏かつ公然と動産の占有を開始した譲受人が善意無過失であるときは、 その動産に対して行使する権利を取得する。これを㋑即時取得という。㋒不動産取引の場合も同様である

④ 無権代理行為は、本人が追認しない限り、㋐本人に対して効力を生じない。無権代理の相手方であるAが本人Bに対し、㋑相当の期間を定めて、その期間内に追認するか否か確答するよう催告したが、文書到達後いつまでたっても確答がなかった。この場合、Bは無権代理行為の追認を㋒拒絶したものとみなされる

⑤ 未成年者が㋐行為能力を欠く場合には、自身の行為によって他人に損害を与えても、当該行為について不法行為に基づく損害賠償責任を負わない。10歳のAが同級生を殴りけがを負わせ、Aに賠償責任が認められない場合、Aの親権者は、㋑自らの監督義務を怠らなかったとき、あるいは㋒仮に監督義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときを除き、Aの行為について賠償責任を免れない。

⑥ 委任契約は、なんら特別の事由がなくても、㋐各当事者がいつでもその解除をすることができる。当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、㋑相手方の損害を賠償しなければならない。やむを得ない事由があったときは、㋒相手方の損害を賠償せずに解除することができる

⑦ 双務契約の当事者の一方は、相手方の債務が弁済期に達している場合、相手方がその債務の履行を提供するまでは、㋐自己の債務の履行を拒むことができる。動産取引において、㋑目的物引渡債務と代金債務は同時履行関係にある。不動産取引において、㋒売主の登記手続協力債務と買主の代金債務は同時履行関係にある

⑧ 民法は、㋐詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる旨を定めている。この取消権は、㋑追認をすることができるときから5年間行使しないときは、時効によって消滅する。㋒行為の時から20年を経過したときも、時効によって消滅する。

⑨ 賃貸住宅の賃借人が契約書に明記された禁止事項を行っていた場合、賃貸人は、㋐契約違反の事実のみを理由として賃貸借契約を解除することができる。賃借人の行為があまりに悪質で、当事者間の信頼関係が修復不能なほどに破たんした場合、賃貸人は㋑無催告で契約を解除することができる。賃貸借契約の解除は、㋒将来に向かってのみ効力を生じる。

⑩ 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、㋐自己のためにしたものとみなす。ただし、㋑相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、本人に対して、㋒直接にその効力を生ずる

解説

  • 2019年度試験は問題文の注釈にもあるように「※以下は、現行民法(2017(平成 29)年改正前の民法)に関する問題である。」となっています。
  • 2020年4月1日に注釈の民法(債権法)が施行されたので、2020年度の試験範囲は改正後の民法となります。
  • 2019年度の解説は改正前民法に基づいて解説しますが、改正がある場合には、あわせて改正部分について追記します。
  • 引用する条文は「e-govの法令検索」からで、最新のものは現時点で(施行日:令和二年四月一日)で、改正前民法は(施行日:平成三十年四月一日)から引用しています。
  • また、一番下に引用している法務省の「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」のページから、新旧対照条文を参照するとビフォアアフタが分かりやすく見れます。
    →■ 新旧対照条文 【PDF】※全部で147ページあるのでA4に2枚の両面印刷して手元に置いています(字が小さめなので108%拡大に)。
    →■ 説明資料 ※改正事項の説明資料です。ちょっと難し目かもしれません。
  • 「民法改正おすすめサイト」…弁護士 雨のち晴れブログ(http://blog.livedoor.jp/kosekeito/)
    多くのサイトが専門家向けで、理解するには難しい内容になっていますが、このサイトは弁護士さんが分かりやすい言葉で解説しています。
  • そのほか、民法自体の理解に利用している参考書が2種類あって「口語民法」と「図解による民法のしくみ」です。口語民法は好きなので早く改定されないか待ち望んでいます。
  • 2019年度試験は点数が取れるかどうかは別にして、本試験と再試験ともに比較的解きやすい問題でした。実際、例年だと、5割の正解を目標にしていましたが、6割以上を目指せる感じです。
  • 民法についても過去問で出題された同じような論点が繰り返し出題されています。
  • 2019年度の問題では民法改正があっても、内容的には、あまり影響は受けないように思いますが、条文からの引用出題の場合は条文変更があれば新しい条文で出題されます。

2019年度 再試験 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/10問中

  • 問題11① 未成年者契約 AB
  • 問題11② 契約自由の原則 B
  • 問題11③ 即時取得 BC
  • 問題11④ 代理(無権代理)B
  • 問題11⑤ 不法行為(損害賠償) B
  • 問題11⑥ 委任契約(解除)B
  • 問題11⑦ 双務契約 BC
  • 問題11⑧ 契約の取り消し(詐欺又は強迫)BC
  • 問題11⑨ 賃貸借契約(解除・判例)C
  • 問題11⑩ 代理 B
  • 問題12(選択穴埋)成年後見制度

2019年度 本試験 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/10問中

  • 問題11① 未成年者契約 AB
  • 問題11② 後見制度 BC
  • 問題11③ 消滅時効 BC
  • 問題11④ 契約自由の原則 B
  • 問題11⑤ 売買契約 B
  • 問題11⑥ 債務不履行(履行遅滞・履行不能・不完全履行) B
  • 問題11⑦ 詐欺又は強迫 C
  • 問題11⑧ 請負契約 AB
  • 問題11⑨ 建物賃貸借契約 B
  • 問題11⑩ 不法行為に基づく損害賠償 B
  • 問題12(選択穴埋)代理

過去問(新試験以降の分)

平成30年度 難易度(A易、B普通、C難)目標:5問以上/10問中(★頻出☆重要実務)

  • 問題11① 任意規定と強行規定 AB★
  • 問題11② 到達主義と発信主義 B★
  • 問題11③ 契約の分類(諾成契約・寄託契約・保証契約)B★
  • 問題11④ 未成年者契約 BC★
  • 問題11⑤ 無効(公序良俗違反) C
  • 問題11⑥ 不法行為(製造物責任)C
  • 問題11⑦ 代理(無権代理)B
  • 問題11⑧ 賃貸借契約(敷金返還訴訟)BC
  • 問題11⑨ 委任契約 BC
  • 問題11⑩ 債務不履行(履行遅滞・履行不能・不完全履行)C
  • 問題12(選択穴埋)意思表示

平成29年度 過去問 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/10問中(★頻出☆重要実務)

  • 問題11① 一般論(一般法と特別法) ★AB
  • 問題11② 契約の意思表示 ★AB
  • 問題11③ 履行遅延と履行不能(債務不履行) ★BC
  • 問題11④ 詐欺又は強迫無効 ★BC
  • 問題11⑤ 制限行為能力者の法律行為 ★B
  • 問題11⑥ 請負契約 ★B
  • 問題11⑦ 契約の取り消し(追認・時効)★B
  • 問題11⑧ 即時取得 BC
  • 問題11⑨ 不法行為 ★BC
  • 問題11⑩ 代理 C
  • 問題12(選択穴埋)建物賃貸借契約

平成28年度 過去問 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/10問中

  • 問題12①3択 任意規定と強行規定 B
  • 問題12②2択 取締規定 BC
  • 問題12③3択 不当利得(708条) AB
  • 問題12④2択 錯誤無効(95条) C
  • 問題12⑤3択 未成年者契約 AB
  • 問題12⑥3択 消滅時効 C
  • 問題12⑦2択 契約の取り消し BC
  • 問題12⑧3択 履行遅滞・履行不能・不完全履行 AB
  • 問題12⑨2択 使用者責任 B
  • 問題12⑩3択 代理 BC
  • 問題13(選択穴埋)無効・取り消し

法務省HP「 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」

法務省HP
トップページ > 法務省の概要 > 組織案内 > 内部部局 > 民事局 > 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について
平成29年11月2日
平成29年12月15日更新
平成30年 3月23日更新
平成30年 5月10日更新(改正事項別の説明資料のファイルを掲載しました。保証及び消費貸借に関する説明資料を修正し,債務引受及び寄託に関する説明資料を新しく追加しました。)
平成31年 3月27日更新(「民法の一部を改正する法律の概要」の欄に経過措置に関する説明資料を新しく追加しました。「ポスター・パンフレット」の欄に「事件や事故に遭われた方へ」,「賃貸借契約に関するルールの見直し」及び「売買,消費貸借,定型約款などに関するルールの見直し」を新しく追加しました。)
令和元年 6月5日更新 (経過措置に関する説明資料を修正しました。)
法務省民事局
令和元年12月27日更新 (「ポスター・パンフレット」の欄にマンガ「桃太郎と学ぶ民法(債権法)改正後のルール」を新しく追加しました。)
令和 2年 4月 2日更新 (「民法の一部を改正する法律の概要」の欄に法定利率の変動制に関する資料を新しく追加しました。)

  平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が成立しました(同年6月2日公布)。
民法のうち債権関係の規定(契約等)は,明治29年(1896年)に民法が制定された後,約120年間ほとんど改正がされていませんでした。今回の改正は,民法のうち債権関係の規定について,取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に,社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに,民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。
今回の改正は,一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されます(詳細は以下の「民法の一部を改正する法律の施行期日」の項目をご覧ください。)。
民法の一部を改正する法律の概要
 民法の一部を改正する法律の概要については,以下の資料をご覧ください。(随時更新予定)

■ 法律 【PDF】
■ 新旧対照条文 【PDF】
■ 改正の概要 【PDF】
■ Q&A 【PDF】
■ 説明資料
 -主な改正事項(1~22) 【PDF】 ※目次をクリックすると該当箇所をご覧いただけます。
 -重要な実質改正事項(1~5) 【PDF】 ※目次をクリックすると該当箇所をご覧いただけます。
     改正事項別のファイルはこちら
  ・法定利率の変動制に関する説明資料【PDF】
  ・民法第四百四条第三項に規定する期及び同条第五項の規定による基準割合の告示に関する省令(令和元年法務省令第1号【PDF】) 
  ・民法第四百四条第五項の規定に基づき、令和二年四月一日から令和五年三月三十一日までの期における基準割合を告示する件 (令和2年法務省告示第47号【PDF】)
-経過措置 【PDF】
民法の一部を改正する法律の施行期日
  民法の一部を改正する法律の施行期日については,以下の資料をご覧ください。なお,以下の資料には,定型約款の経過措置についての注意事項も記載しています。

■ 民法(債権関係)改正法の施行期日について 【PDF】 
■ 定型約款に関する規定の適用に対する「反対の意思表示」について 【PDF】
ポスター・パンフレット ※ダウンロードしてご利用下さい

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html