2021年度 問題15 電気通信事業法・電子消費者契約法・割賦販売法(正誤○×)その1(一般公開中)

15. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 電気通信事業法及び同法施行規則では、電気通信事業者が利用者と一定の電気通信役務の契約をしようとする際は、料金その他の提供条件の概要に関して口頭で説明すれば足り、書面交付は不要とされている。契約締結後は、契約内容を明らかにする書面を遅滞なく交付しなければならない。

② 電気通信事業法では、電気通信事業者又は媒介等業務受託者が、携帯電話端末サービスの提供に関する契約の締結の媒介等の業務を委託する場合、委託先は、媒介等の業務を行うことにつき総務大臣の許可を受けた事業者に限られる。

③ 包括信用購入あっせんを利用してオフアス取引の加盟店で商品を購入した消費者から、「加盟店の不実告知があり購入契約を取り消した」との苦情をイシュアーである包括信用購入あっせん業者が受け、当該消費者からの支払停止の抗弁の主張を認めて、クレジット代金の請求を停止したときは、当該包括信用購入あっせん業者は、割賦販売法上、アクワイアラーに対する苦情の通知等の義務を負わない。

④ インターネット通信販売で商品を購入する際に、クレジットカードを利用せず、通信販売業者の提携先の立替払業者を利用して2ヵ月以内に立替金を清算する取引において、立替払業者は、割賦販売法に基づく購入者への過剰与信防止義務を負わない。

⑤ A社は、翌月一括払専用クレジットカードのイシュアーである。A社と加盟店との間で立替払いの取次ぎを行うアクワイアラーは、割賦販売法に基づく登録義務や加盟店調査措置義務を負わない。

⑥ 消費者が、訪問販売により、個別信用購入あっせんを利用して10 万円の商品を購入した場合において、販売業者が勧誘時に商品の性能について事実と異なる説明をし、消費者がそれを信じて商品を購入したときは、消費者は、割賦販売法に基づき、個別信用購入あっせん契約を取り消して、既払いクレジット代金の返還請求ができる。

⑦ 割賦販売法によれば、登録包括信用購入あっせん業者(認定包括信用購入あっせん業者を除く)が個人に対して極度額50 万円のクレジットカードを発行する際は、包括支払可能見込額を算定するため、利用者の年収やクレジット債務額等の調査が義務づけられている。年収は自己申告額でよいが、クレジット債務額は指定信用情報機関の特定信用情報を使用しなければならない。

⑧ 包括信用購入あっせんを利用して1本1万円のネクタイを5本まとめて5万円で購入したが、そのうちの1本の品質が悪く使用できなかった場合、包括信用購入あっせん業者に対して、割賦販売法に基づく支払停止の抗弁を主張することはできない。

解説

割賦販売法という分割払いに関する法律問題ですが、最も難しい分野ではないかと思うほどの難問ぞろいです。相談現場でもクーリングオフや商品が届かないなどの場面で割賦販売法が出てくる場面もありますが、手続等の表面的なことがメインで、法律解釈などの細かいところは信販会社にまかせることが多いので、実際に条文を使いこなすような実務はありません。あるとすれば、クーリングオフの通知をはがきで出すときに、クレジット会社にも同時に出しておくというアドバイスです。

ただし、割賦販売法は消費者法務の中では切っても切れない法律なので必ず出題されます。旧試験では正誤×選択10問で5割の得点を目標としていましたが、新試験になって、全体の問題数が減ったことから、割賦販売法の問題数も減りました。ありがたいことですが、難易度は変わっていませんので、割賦販売法自体の目標は半分の5割です。そして、2019年度試験からは単純正誤問題になりました。通常、正誤×選択から単純正誤問題に変わると、難易度が下がるのですが、2019年度試験では、本試験は取りやすく、再試験では難しい問題となりました。2020年度試験・2021年度試験も難しかったです。

新試験になってから、割賦販売法単独の大問題ではなく、電気通信事業法・資金決済法・電子消費者契約法など、他の分野との合体で10問構成になっていました。その中で割賦販売法は7問出題されていましたが、30年度試験は全体が10問から9問に減ったので、その分割賦販売法が6問になっています。2019年度試験以降も6問だったので、今後も、このまま単純正誤で割賦販売法が6問になるのではないかと思います。

これまでの出題形式は「正誤×選択」だったのですが、2019年度試験以降の出題形式は「単純正誤」問題に変わっています。つまり、易しくなっているということです。とはいえ、割賦販売法は難しいのは変わっていません。

21021年試験では、電気通信事業法2問と割賦販売法6問は変わっていませんが、電子消費者契約法がなくなったことで、1問減少し8問となって、全体として1問減少しました。2022年度試験でどうなるのかは分かりません。また、特に割賦販売法の問題が難問ぞろいでした。

割賦販売法の出題ポイント

相談現場でもありそうな事例が問題になっています。たいていは過去問で出題されているので、過去問解説で詳しく説明しています。

  • 定義・・・基本事項。メインは個別信用購入あっせん契約と次いで包括信用購入あっせん契約。そのほかに割賦販売契約とローン提携販売契約。
  • クーリングオフ・・・特定商取引法と割賦販売法のクーリングオフの関係(割賦販売法のクーリングオフを最初・もしくは同時にする)
  • 抗弁・・・クレジット払いしたけど、商品が届かない、事業者が約束を守ってくれない、事業者とトラブルになっている、などの状況が発生したときに、クレジットの分割払いの支払いを一時的にストップして、トラブルが解消するまで支払いを保留にしたい。
  • 加盟店調査・・・悪質な事業者と契約したときやトラブルが多い事業者に対してクレジット会社・加盟店契約会社が加盟店を調査して指導します。
  • マンスリークリア・・・翌月1回払いのこと。一時的な決済用として考えられているので、割賦販売法の定義からは除外されている。抗弁権も主張できない。
  • その他・・・信用情報や与信額調査など

電気通信事業法

電気通信事業法は相談現場でもトラブルの多い、ケーブルテレビや光回線、携帯電話の通信契約等を規制する法律です。

旧試験では、条文から出題されるとかではなく、一般的な電気通信事業の契約トラブルや使い方などの問題が出題されていましたが、ちょうど新試験のころに、初期解除制度という大きな改正がされ、それ以降は、条文自体も重要になってきました。

ただし、出題論点は決まっているので、過去問対策になります。法改正があれば、それも要チェックです。また、契約書の交付についても確認しておいてください。

ポイントは2つの法改正

  • 2016年(平成28年)5月21日の法改正⇒携帯電話の通信料契約の初期契約解除制度(クーリングオフ制度といわれているが完全な無条件解約ではない)など
  • 2019年(令和元年)10月1日の法改正⇒通信料金と端末代金の完全分離など

資金決済法

28年度と29年度に出題されて、30年度は出題されませんでしたが、30年度は問題4④の5選択肢2択で出題されました。2019年度以降からは、この大問題ではなく、穴埋などほかの分野で出題されていますので、今後も対策は必要と思います。

以前は前払式支払手段などが出題されていましたが、最近は仮想通貨(暗号資産)です。そして、今後は仮想通貨も引き続き出題されつつ、QR決済も必要です。

電子消費者契約法 ※民法改正がらみで重要

相談現場でも重要な法律です。非常に短い法律なので、論点は決まっており、過去問対策でOKです。条文自体は読みにくいので考え方を覚えてください、と2019年度までは解説していましたが、2020年4月1日の民法債権法の改正で法律の名称も変わり、内容も変わっています。2020年度でも早速改正論点が出題されました。今後も、必須勉強分野になります。

法律の正式名称変更

省略名は同じ「電子消費者契約法」
(旧)電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律
(新)電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律

電子消費者契約法(電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律)のポイント

  1. 事業者・消費者間の電子消費者契約における消費者の操作ミスによる錯誤に関して、民法第95条の特例措置(第3条)
  2. 電子承諾通知に関して、民法第526条等の特例措置(第4条)← 削除(2020年民法改正による)

※民法改正によって2020年4月1日より第4条は削除され法律の名称も変わりました※

経済産業省ホーム >政策について >政策一覧 >ものづくり/情報/流通・サービス >情報化・情報産業 >主要施策 >電子商取引の促進
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/

電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律
電子商取引における消費者の保護等を目的とした「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」(平成13年6月29日法律第95号)が平成13年12月25日から施行されております。

この法律には、

事業者・消費者間の電子消費者契約における消費者の操作ミスによる錯誤に関して、民法第95条の特例措置(第3条)
電子承諾通知に関して、民法第526条等の特例措置(第4条)
の規定が設けられております。

※民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が施行され、民法における隔地者間の契約の成立時期が「承諾の通知を発した時」から「相手方に到達した時」に変更になったこと(民法第526条第1項の削除)に伴い、令和2年4月1日より、上記の「電子承諾通知に関する民法第526条等の特例措置」は削除となり、法律の題名も「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」に変更となりました。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/

2021年度 難易度(A易、B普通、C難)目標:5問/8問中

  • 問題15① 電気通信事業法・書面交付義務 C
  • 問題15② 電気通信事業法・契約の締結の媒介等の業務委託 BC
  • 問題15③ 割賦販売法・包括信用購入・アクワイアラーへの苦情の通知 BC
  • 問題15④ 割賦販売法・立替払業者の過剰与信防止義務 BC
  • 問題15⑤ 割賦販売法・翌月一括払専用カード・登録義務・加盟店調査義務 BC
  • 問題15⑥ 割賦販売法・個別信用購入あっせん・不実告知の既払金返還請求 C
  • 問題15⑦ 割賦販売法・包括信用購入・与信義務 C
  • 問題15⑧ 割賦販売法・包括信用購入・支払い停止の抗弁 C

過去問

2020年度 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問/9問中

  • 問題17① 電気通信事業法・勧誘時の氏名等の明示義務 B ※2019年10月1日改正論点
  • 問題17② 電子消費者契約法・到達主義・民法改正関連 AB ※民法改正
  • 問題17③ 電気通信事業法・通信料金と端末代金の完全分離 AB ※2019年10月1日改正論点
  • 問題17④ 割賦販売法・苦情対応 C ※平成28年改正論点
  • 問題17⑤ 割賦販売法・包括信用購入・書面交付 C ※平成28年改正論点
  • 問題17⑥ 割賦販売法・カード番号等の不正利用防止策 B ※平成28年改正論点
  • 問題17⑦ 割賦販売法・包括信用購入・支払停止の抗弁 B
  • 問題17⑧ 割賦販売法・加盟店調査措置義務 BC ※平成28年改正論点
  • 問題17⑨ 割賦販売法・累積での過量販売の解除返金 AB

2019年度(本試験) 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問/9問中

  • 問題16① 電気通信事業法・契約の解除(28年5月21日改正施行分)B
  • 問題16② 電気通信事業法・業務受託者管理 AB
  • 問題16③ 携帯電話不正利用防止法 AB
  • 問題16④ 割賦販売法・包括信用購入・定義 B
  • 問題16⑤ 割賦販売法・抗弁 B
  • 問題16⑥ 割賦販売法・登録 BC
  • 問題16⑦ 割賦販売法・個別信用購入・取消し C
  • 問題16⑧ 割賦販売法・個別信用購入・抗弁 C
  • 問題16⑨ 割賦販売法・カード情報の安全管理義務(平成28年12月改正) BC

2019年度(再試験) 難易度(A易、B普通、C難)目標:5問/9問中

  • 問題16① 電気通信事業法・説明義務 BC
  • 問題16② 電子消費者契約法・定義 AB
  • 問題16③ 電気通信事業法・初期契約解除(28年5月21日改正施行分) AB
  • 問題16④ 割賦販売法・包括信用購入・指定信用情報機関 BC
  • 問題16⑤ 割賦販売法・個別信用購入・過量販売解除 C
  • 問題16⑥ 割賦販売法・包括信用購入・書面交付 B
  • 問題16⑦ 割賦販売法・苦情対応 C
  • 問題16⑧ 割賦販売法・苦情対応 BC
  • 問題16⑨ 割賦販売法・包括信用購入・抗弁 C

2018年度(平成30年度) 問題16 電気通信事業法・電子消費者契約法・割賦販売法(正誤×選択)目標:5問/9問中

  • 問題16① 電気通信事業法・説明義務 BC
  • 問題16② 電気通信事業法・書面交付義務(28年5月21日改正施行分) AB
  • 問題16③ 電子消費者契約法 AB ★
  • 問題16④ 割賦販売法・信用購入・事業者の義務 B
  • 問題16⑤ 割賦販売法・包括信用購入・通信販売の抗弁 BC
  • 問題16⑥ 割賦販売法・法改正・カード情報の安全管理義務(平成28年12月改正) BC
  • 問題16⑦ 割賦販売法・個別信用購入・信用情報 BC
  • 問題16⑧ 割賦販売法・個別信用購入・過量販売 C
  • 問題16⑨ 割賦販売法・個別信用購入・取消し・不実告知 BC

2017年度(平成29年度) 問題15 電気通信事業法・資金決済法・割賦販売法(正誤×選択)目標:5問/10問中

  • 問題15① 電気通信事業法・初期契約解除制度(28年5月21日改正施行分) AB ☆
  • 問題15② 資金決済法・仮想通貨(29年4月1日改正施行分) BC
  • 問題15③ 電子消費者契約法 AB ★
  • 問題15④ 割賦販売法・個別信用購入・適用対象 BC
  • 問題15⑤ 割賦販売法・個別信用購入・取り消し C
  • 問題15⑥ 割賦販売法・包括信用購入・抗弁 BC
  • 問題15⑦ 割賦販売法・包括信用購入・抗弁 BC
  • 問題15⑧ 割賦販売法・個別信用購入・過量販売 B
  • 問題15⑨ 割賦販売法・個別信用購入・クーリングオフ BC
  • 問題15⑩ 割賦販売法・支払い方法の変更による抗弁 AB

2016年度(平成28年度) 問題18 電気通信事業法・資金決済法・割販法(正誤×選択)目標:6問/10問中

  • 問題18① 電気通信事業法 AB
  • 問題18② 資金決済法 C
  • 問題18③ 電子消費者契約法 B
  • 問題18④ 割賦販売法・包括信用購入の適用 C
  • 問題18⑤ 割賦販売法・個別信用購入・加盟店調査 C
  • 問題18⑥ 割賦販売法・個別信用購入・クーリングオフ AB
  • 問題18⑦ 割賦販売法・個別信用購入・取消し B
  • 問題18⑧ 割賦販売法・抗弁 B
  • 問題18⑨ 割賦販売法・抗弁 AB
  • 問題18⑩ 割賦販売法・訪問販売 BC

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