2022年度 問題10 民法(成年後見制度)(選択穴埋)その1(一般公開)
10.次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。
認知症、知的障害、精神障害などの理由により十分な判断能力を有しない者を保護し、支援する制度を成年後見制度という。民法では、[ ア ]を欠く常況にある者について後見開始の審判ができるとされ、審判を受けた成年被後見人に成年後見人を付すこととされている。成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、自己決定尊重の観点などから、成年被後見人のした[ イ ]については、取り消すことができない。
被保佐人は[ ア ]が著しく不十分な者について、被補助人は[ ア ]が不十分な者について、それぞれ保佐開始の審判、補助開始の審判ができるとされ、審判を受けた被保佐人、被補助人にそれぞれ保佐人、補助人を付すこととされている。成年被後見人よりも判断能力の低下の度合いが軽度なため、自己決定尊重の観点から、保佐人及び補助人に特定の法律行為について代理権を付与するためには、本人の同意は[ ウ ]である。
保佐人の同意を要する行為について、被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず保佐人が同意をしないとき、[ エ ]は、被保佐人の請求により、同意に代わる許可を与えることができる。補助人の同意を要する行為について補助人が同意をしない場合にも、同様の手続きをとることになる。
任意後見契約は、本人があらかじめ任意後見人を選任し、[ オ ]により行うものである。任意後見契約は、[ エ ]が任意後見監督人を選任した時から効力が生ずる。
【語群】
1. 日常生活に関する行為 2. 官報公告 3. 事理弁識能力 4. 不要 5. 家庭裁判所 6. 財産に関する権利の得喪を目的とする行為 7. 戸籍への記載 8. 責任能力 9. 必要 10. 検察官 11. 公正証書 12. 市町村長 13. 権利能力
解説・ポイント
2019年度試験は問題文の注釈に「※以下は、現行民法(2017(平成 29)年改正前の民法)に関する問題である。」となっていましたが、2020年4月1日に注釈の民法(債権法)が施行されたことにともない、2020年度の試験範囲は改正後の民法となったので、「※以下は、民法(2017(平成 29)年改正後の民法)に関する問題である。」となりました。2021年度試験では注釈なしで「※以下は、民法に関する問題である。」となりました。成年年齢の引下げも2022年4月1日施行ですので、2022年度試験からは完全に試験範囲となり、あわせて注釈もなくなっています。
- 民法(正誤×選択)問題でも解説した通り、旧試験では正誤×選択問題が15問出題されていましたが、新試験になってから、正誤×選択問題が10問に減少し(2020・2021年度は11問に、2022年度は12問になりました)、代わりに選択穴埋問題が5問出題されています。このパターンは、おそらく今後も続くと思われます。※2023年度試験要項で穴埋問題がなくなることになりました。民法は大問題1つになり、正誤×選択が増えるかどうかという気がします。得点源だっただけに痛いかもしれません。
- そして、穴埋問題ですので難易度は下がります。旧試験での民法15問と新試験での民法15問では正答率を上げることができますので、この穴埋問題は平均以上の点数が取れるようにしたいところです(2020年度に限っては難易度が高かったです)。
- 今回の分野は「成年後見制度」の基本事項ですので、満点も可能ではないかと思います。ちなみに、問題9にも同じような論点がありました。
- また、語群を適切に分類できれば、2択か3択になり、正解しやすくなります。
民法
(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
(成年被後見人及び成年後見人)
第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
- (参考)制限行為能力者が取消しをした時の「原状回復の義務」については「現存利益の返還(使った分は返還しなくてもよい)」となります。
民法
(取消しの効果)
第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
(原状回復の義務)
第百二十一条の二 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
2 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
3 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。
2022年度 問題10 成年後見制度 ※難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/5問中
- ア 能力 AB
- イ 行為 AB
- ウ 必要か不要か B
- エ どこが誰が B
- オ どのようにして BC
過去問(新試験以降の分)
2021年度 問題11 錯誤取消し ※難易度(A易、B普通、C難)目標:3問以上/5問中
- ア 契約の種類 B
- イ 事情 C
- ウ 取消し要件 BC
- エ 第三者への対抗 C
- オ 取消しできなくなる要件 AB
2020年度 問題12 時効 ※難易度(A易、B普通、C難)目標:1-3問以上/5問中
- ア 時効の年数(知った時から)BC ※暗記 ※改正民法
- イ 時効の年数(行使できる時から)BC ※暗記 ※改正民法
- ウ 時効の停止(完成猶予)C ※改正民法
- エ 時効の中断(更新)C ※改正民法
- オ 時効の援用 C ※改正民法
2019年度 本試験 問題12 代理 ※難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/5問中
- ア 代理の分類 AB
- イ 無権代理 A
- ウ 無権代理の効力 AB
- エ 表見代理 BC
- オ 表見代理 AB
2019年度 再試験 問題12 成年後見制度 ※難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/5問中
- ア 後見の定義 AB ※定番フレーズ
- イ 本人の同意の有無 B ※頻出ポイント
- ウ 後見開始手続き B
- エ 取り消し対象 AB
- オ 管理義務 AB
30年度 問題12 民法(取消し・解除)※難易度(A易、B普通、C難)目標:3問以上/5問中
- ア 詐欺などによる意思表示 AB ※鉄板フレーズ
- イ 取消権(追認)の時効期間 BC ※暗記問題
- ウ 取り消しすることができなくなる行為 ※C 法律用語
- エ 解除したときの義務 AB ※語群から予測可能
- オ 履行遅延 BC
29年度 問題12 民法(建物賃貸借契約)※難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/5問中
- 内容省略
28年度 問題13 民法(無効・取消し)※難易度(A易、B普通、C難) A 目標:5問/5問中
- 内容省略
【動画解説】2022年度-問題10「民法(成年後見制度)」(一般公開サンプル)
- 【YouTube】https://youtu.be/YkI2319pKj8