16. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入マーク)しなさい。
① 電気通信事業法上、一定の固定通信サービスの提供契約を締結した利用者は、取引形態が電話勧誘販売の場合に限り、契約内容が記載された書面の受領日から起算して8日を経過するまでの間、契約の解除が可能である。
② 電気通信事業法では、電気通信事業者が契約の締結の媒介等の業務及びこれらに付随する業務を媒介等業務受託者に委託する際には、電気通信事業者による指導等、当該委託に係る業務(媒介等業務)が適正かつ確実に遂行されるための措置を講じなければならないとしている。
③ 携帯電話不正利用防止法においては、携帯電話の音声通信役務を提供する事業者には、自然人との間で当該音声通信役務の提供契約を締結する際に、事業者の任意の方法での申込者の本人確認、及び確認記録の一定期間の保存が義務づけられている。
④ 割賦販売法上の包括信用購入あっせんには、あらかじめプラスチックカードを交付する方式のほか、ID 番号やパスワードを付与する方式も含まれる。
⑤ 支払期日の一定期間前までにリボルビング払いに変更ができる特約付きクレジットカードを利用して翌月一括払いで商品を購入した後、リボルビング払いに変更した場合、売買契約について抗弁事由があったとしても、購入者はクレジットカード会社に対し割賦販売法に基づく支払停止の抗弁を主張することはできない。
⑥ 加盟店に対してクレジットカード番号等の取扱いを認める契約を締結する「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者」(アクワイアラー等)は、カード代金の支払い方法が、翌月一括払い、2月を超える後払いのいずれの場合であっても、経済産業省への登録が必要である。
⑦ 訪問販売で商品を購入するにあたり、割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用した場合において、購入者が、販売業者の商品引渡し遅延により債務不履行解除をした場合、個別信用購入あっせん契約の取消しができる。
⑧ 「健康機器を購入してモニターになれば報酬を支払う」との販売業者の説明を信じ、割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用して健康機器を購入し、モニターになったが、モニター報酬の支払いがないまま販売業者が倒産した。個別信用購入あっせん業者がモニター報酬の存在を知ることができなかった場合は、購入者は支払停止の抗弁の主張はできない。
⑨ クレジットカード加盟店は、クレジットカード番号等の漏えい等の事故防止措置を講ずる義務とともに、クレジットカード番号等の不正な利用の防止措置を講ずる義務を負う。
解説
割賦販売法という分割払いに関する法律問題ですが、最も難しい分野ではないかと思うほどの難問ぞろいです。相談現場でもクーリングオフや商品が届かないなどの場面で割賦販売法が出てくる場面もありますが、手続等の表面的なことがメインで、法律解釈などの細かいところは信販会社にまかせることが多いので、実際に条文を使いこなすような実務はありません。あるとすれば、クーリングオフの通知をはがきで出すときに、クレジット会社にも同時に出しておくというアドバイスです。
ただし、割賦販売法は消費者法務の中では切っても切れない法律なので必ず出題されます。旧試験では正誤×選択10問で5割の得点を目標としていましたが、新試験になって、全体の問題数が減ったことから、割賦販売法の問題数も減りました。ありがたいことですが、難易度は変わっていませんので、割賦販売法自体の目標は半分の5割です。そして、2019年度試験では単純正誤問題になりました。通常、正誤×選択から単純正誤問題に変わると、難易度が下がるのですが、2019年度試験では、本試験は取りやすく、再試験では難しい問題となりました。
新試験になってから、割賦販売法単独の大問題ではなく、電気通信事業法・資金決済法・電子消費者契約法など、他の分野との合体で10問構成になっていました。その中で割賦販売法は7問出題されていましたが、30年度試験は全体が10問から9問に減ったので、その分割賦販売法が6問になっています。2019年度試験でも6問だったので、もしかすると今後もこのパターンとなるかもしれませんが、このまま単純正誤になるのか、正誤×選択に戻るのかはわかりません。
ちなみに、問題に勝手につけているタイトルが定まらないです
これまでの出題形式は「正誤×選択」だったのですが、2019年度試験での出題形式は「単純正誤」問題に変わっています。つまり、易しくなっているということです。とはいえ、割賦販売法は難しかったです。2020年度についての出題形式は分かりません。
割賦販売法の出題ポイント
相談現場でもありそうな事例が問題になっています。たいていは過去問で出題されているので、過去問解説で詳しく説明しています。
- 定義…基本事項。メインは個別信用購入あっせん契約と次いで包括信用購入あっせん契約。そのほかに割賦販売契約とローン提携販売契約。
- クーリングオフ…特定商取引法と割賦販売法のクーリングオフの関係(割賦販売法のクーリングオフを最初・もしくは同時にする)
- 抗弁…クレジット払いしたけど、商品が届かない、事業者が約束を守ってくれない、事業者とトラブルになっている、などの状況が発生したときに、クレジットの分割払いの支払いを一時的にストップして、トラブルが解消するまで支払いを保留にしたい。
- 加盟店調査…悪質な事業者と契約したときやトラブルが多い事業者に対して信販会社が加盟店を調査して指導します。
- その他…信用情報や与信額調査など
電気通信事業法
電気通信事業法は相談現場でもトラブルの多い、ケーブルテレビや光回線、携帯電話の通信契約等を規制する法律です。
特に、携帯電話の通信料契約については初期契約解除制度(クーリングオフ制度といわれていますが完全な無条件解約ではありません)ができるなど、平成28年5月21日の法改正がポイントとなっています。30年度試験の出題ポイントで実際に出題済みですし、2019年度でも出題されています。今後もトラブルが多い分野なので法改正分も引き続き出題される可能性が高いです。
資金決済法
28年度と29年度に出題されて、30年度は出題されませんでしたが、30年度は問題4④の5選択肢2択で出題されました。2019年度も出題されませんでしたが、必要な分野なので、今後も対策は必要と思います。
以前は前払式支払手段などが出題されていましたが、最近は仮想通貨です。そして、今後は仮想通貨も引き続き出題されつつ、QR決済も視野に入れておいてください。
電子消費者契約法 ※民法改正がらみで要チェック(詳しくは別途解説します)
相談現場でも重要な法律です。非常に短い法律なので、論点は決まっており、過去問対策でOKです。条文自体は読みにくいので考え方を覚えてください、と昨年までは解説していましたが、2020年4月1日の民法債権法の改正で法律の名称も変わり、内容も変わっています。個々の分野で出題されるかほかの分野で出題されるかわかりませんが、しばらくは、必須勉強分野になります。
法律の正式名称変更
省略名は同じ「電子消費者契約法」
(旧)電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律
(新)電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律
電子消費者契約法(電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律)のポイント
- 事業者・消費者間の電子消費者契約における消費者の操作ミスによる錯誤に関して、民法第95条の特例措置(第3条)
電子承諾通知に関して、民法第526条等の特例措置(第4条)← 削除(2020年民法改正による)
※民法改正によって2020年4月1日より第4条は削除され法律の名称も変わりました※
経済産業省ホーム >政策について >政策一覧 >ものづくり/情報/流通・サービス >情報化・情報産業 >主要施策 >電子商取引の促進
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/
電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律
電子商取引における消費者の保護等を目的とした「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」(平成13年6月29日法律第95号)が平成13年12月25日から施行されております。この法律には、
事業者・消費者間の電子消費者契約における消費者の操作ミスによる錯誤に関して、民法第95条の特例措置(第3条)
電子承諾通知に関して、民法第526条等の特例措置(第4条)
の規定が設けられております。※民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が施行され、民法における隔地者間の契約の成立時期が「承諾の通知を発した時」から「相手方に到達した時」に変更になったこと(民法第526条第1項の削除)に伴い、令和2年4月1日より、上記の「電子承諾通知に関する民法第526条等の特例措置」は削除となり、法律の題名も「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」に変更となりました。
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/
2019年度(本試験) 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問/9問中
- 問題16① 電気通信事業法・契約の解除(28年5月21日改正施行分)B
- 問題16② 電気通信事業法・業務受託者管理 AB
- 問題16③ 携帯電話不正利用防止法 AB
- 問題16④ 割賦販売法・包括信用購入・定義 B
- 問題16⑤ 割賦販売法・抗弁 B
- 問題16⑥ 割賦販売法・登録 BC
- 問題16⑦ 割賦販売法・個別信用購入・取消し C
- 問題16⑧ 割賦販売法・個別信用購入・抗弁 C
- 問題16⑨ 割賦販売法・カード情報の安全管理義務(平成28年12月改正) BC
2019年度(再試験) 難易度(A易、B普通、C難)目標:5問/9問中
- 問題16① 電気通信事業法・説明義務 BC
- 問題16② 電子消費者契約法・定義 AB
- 問題16③ 電気通信事業法・初期契約解除(28年5月21日改正施行分) AB
- 問題16④ 割賦販売法・包括信用購入・指定信用情報機関 BC
- 問題16⑤ 割賦販売法・個別信用購入・過量販売解除 C
- 問題16⑥ 割賦販売法・包括信用購入・書面交付 B
- 問題16⑦ 割賦販売法・苦情対応 C
- 問題16⑧ 割賦販売法・苦情対応 BC
- 問題16⑨ 割賦販売法・包括信用購入・抗弁 C
(参考)30年度 問題16 電気通信事業法・電子消費者契約法・割賦販売法(正誤×選択)目標:5問/9問中
- 問題16① 電気通信事業法・説明義務 BC
- 問題16② 電気通信事業法・書面交付義務(28年5月21日改正施行分) AB
- 問題16③ 電子消費者契約法 AB ★
- 問題16④ 割賦販売法・信用購入・事業者の義務 B
- 問題16⑤ 割賦販売法・包括信用購入・通信販売の抗弁 BC
- 問題16⑥ 割賦販売法・法改正・カード情報の安全管理義務(平成28年12月改正) BC
- 問題16⑦ 割賦販売法・個別信用購入・信用情報 BC
- 問題16⑧ 割賦販売法・個別信用購入・過量販売 C
- 問題16⑨ 割賦販売法・個別信用購入・取消し・不実告知 BC
(参考)29年度 問題15 電気通信事業法・資金決済法・割賦販売法(正誤×選択)目標:5問/10問中
- 問題15① 電気通信事業法・初期契約解除制度(28年5月21日改正施行分) AB ☆
- 問題15② 資金決済法・仮想通貨(29年4月1日改正施行分) BC
- 問題15③ 電子消費者契約法 AB ★
- 問題15④ 割賦販売法・個別信用購入・適用対象 BC
- 問題15⑤ 割賦販売法・個別信用購入・取り消し C
- 問題15⑥ 割賦販売法・包括信用購入・抗弁 BC
- 問題15⑦ 割賦販売法・包括信用購入・抗弁 BC
- 問題15⑧ 割賦販売法・個別信用購入・過量販売 B
- 問題15⑨ 割賦販売法・個別信用購入・クーリングオフ BC
- 問題15⑩ 割賦販売法・支払い方法の変更による抗弁 AB
(参考)28年度 問題18 電気通信事業法・資金決済法・割販法(正誤×選択)目標:6問/10問中
- 問題18① 電気通信事業法 AB
- 問題18② 資金決済法 C
- 問題18③ 電子消費者契約法 B
- 問題18④ 割賦販売法・包括信用購入の適用 C
- 問題18⑤ 割賦販売法・個別信用購入・加盟店調査 C
- 問題18⑥ 割賦販売法・個別信用購入・クーリングオフ AB
- 問題18⑦ 割賦販売法・個別信用購入・取消し B
- 問題18⑧ 割賦販売法・抗弁 B
- 問題18⑨ 割賦販売法・抗弁 AB
- 問題18⑩ 割賦販売法・訪問販売 BC