2021年度 問題1⑤~⑧ 消費者行政と関連法(正誤○×)その3(一般公開)
1. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
⑤ 越境消費者センター(CCJ)は、海外の事業者との取引で消費者トラブルにあった消費者のための相談窓口であり、消費者庁が運営している。
⑥ 「令和2年度地方消費者行政の現況調査」(消費者庁)によると、2020(令和2)年4月1日現在、消費者安全法の規定に基づく消費生活センター数、及び消費生活相談員数は、いずれも前年度の調査より減少している。
⑦ 消費者安全法上、市町村は、事業者に対する消費者からの苦情相談への対応や苦情処理のためのあっせんを行うこととされている。他方、都道府県は、これらの消費生活相談事務のうち、各市町村の区域を超えた広域的な見地からの対応・実施を必要とするものを主として行うこととされている。
⑧ 消費者安全法では、内閣総理大臣は、地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、当該地方公共団体の長に対し、当該住民で消費生活上特に配慮を要する購入者に関する情報を提供することができると規定されている。
問題1⑤ 越境消費者センター(CCJ)B
⑤ 越境消費者センター(CCJ)は、海外の事業者との取引で消費者トラブルにあった消費者のための相談窓口であり、消費者庁が運営している。
- 越境消費者センター(CCJ)は過去にも出題されていますが、国民生活センターの業務の1つです。
- ただし、この問題は少し悩むかもしれません。消費者庁が国民生活センターに委託していれば、どちらになるのかな?と思うかもしれません。
- 実は私の過去問の解説でも「消費庁の委託事業」と書いてきたのですが、開設時の資料をよくよく確認すると、委託ではなくて、「国民生活センターが事業を引き継ぎ」とあるので、消費者庁の手を離れて、国民生活センターの事業になったというのが正確かもしれませんね。委託費という関係ではなく、独立行政法人なので、運営費は国の交付金の中に含められているのではないかと思います。当たり前ですが費用が掛かりますから。また、CCJの運営事務局は国民生活センターから、ベリトランス株式会社(業務委託先)に委託されているようです(開設当初の資料)。
- 国民生活センターの資料等には
『国民生活センター越境消費者センター(CCJ:Cross-border Consumer center Japan)」は、海外の事業者との取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口。CCJ は、2011 年11 月に消費者庁の調査事業として設置され、2015 年度からは国民生活センターの恒常的事業として運営されている。』
と解説されています。 - この事業の歴史として、もともとは消費者庁からECネットワークという団体が受けていましたが、ECネットワークへの委託は2014年度で終了し、2015年6月から国民生活センターが事業を引き継ぎました。
- 問題1では国民生活センターの事業が出題されています。出題される問題は新規事業でない限り、CCJや訪日観光客消費者ホットラインなど、決まっているので過去問を参考にしてください。
したがって、問題1⑤は×(誤っている文章)です。
国民生活センターHP
ホーム >CCJについて>CCJについて
https://www.ccj.kokusen.go.jp/ccj_syki
国民生活センター越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)は、海外の事業者との間での取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口です。
独立行政法人国民生活センターが運営しています。インターネットでの海外事業者との取引(商品購入、宿泊予約等)や海外での現地取引(旅行先の商品購入、サービス利用等)のトラブル解決をお手伝いいたします。
https://www.ccj.kokusen.go.jp/ccj_syki
CCJは、原則メールで、解決方法のアドバイスや必要に応じて英語翻訳支援等を行います。また、複数ヵ国の海外の窓口機関と連携しており、必要に応じて海外機関を通じて相手国事業者に相談内容を伝達するなどして海外事業者に対応を促します。
【2019年度(本試験) 問題1⑤ 国民生活センター越境消費者センター(CCJ) A】
⑤ 国民生活センターは、グローバル化の進展に伴い、海外ネットショッピングなど、海外の事業者との取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口である「越境消費者センター(CCJ)」を設置している。
【正答】⑤→○(正しい文章)
【2016年度(平成28年度) 問題1】
⑧ 国民生活センター越境消費者センター(CCJ)は、韓国消費者院等の海外の消費者相談機関と連携し、日本の消費者と海外の事業者との間の越境取引に関する消費者相談業務を行っている。
【正答】⑧→○(正しい文章)
訪日観光客消費者ホットライン ※もう1つの最近出題されている事業
【2020年度 問題1⑥ 国民生活センター・訪日観光客消費者ホットライン B ※2019年度に出題】
⑥ 日本を訪問した外国人観光客が、飲食店や販売店、宿泊施設等との間で消費者トラブルにあった場合に相談できる窓口として、「訪日観光客消費者ホットライン」が国民生活センターに設置されている。
【正答 ⑥→〇(正しい文章)】
【2019年度(再試験) 問題1④ 国民生活センター・訪日観光客消費者ホットライン BC】
④ 「訪日観光客消費者ホットライン」は、日本を訪れた外国人観光客が日本滞在中に消費者トラブルにあった場合に相談できる電話相談窓口であり、国民生活センターが運営している。
【正答 ④→〇(正しい文章)】
国民生活センターHP
トップページ > 訪日観光客消費者ホットライン/Consumer Hotline for Tourists[2018年12月6日:更新][2018年11月22日:公表]
https://www.kokusen.go.jp/tourists/index.html
訪日観光客消費者ホットライン/Consumer Hotline for Tourists
「訪日観光客消費者ホットライン」は、日本滞在中に消費者トラブルにあった場合に相談できる電話相談窓口です。電話番号は、03-5449-0906です。「訪日観光客消費者ホットライン」は、日本を訪れた外国人観光客が、日本滞在中に消費者トラブルにあった場合に相談できる電話相談窓口です。販売店や飲食店、交通機関、宿泊施設などとの間で、消費者トラブルにあったら、こちらまでご相談ください。
http://www.kokusen.go.jp/tourists/index.html
問題1⑥ 地方消費者行政の現況調査(消費生活センター数と消費生活相談員数) C ※予想外
⑥ 「令和2年度地方消費者行政の現況調査」(消費者庁)によると、2020(令和2)年4月1日現在、消費者安全法の規定に基づく消費生活センター数、及び消費生活相談員数は、いずれも前年度の調査より減少している。
- 2020年度試験に引き続き現況調査からの出題です。
- 2020年度は常識的に考えて簡単な問題でしたが、今回もセンターや相談員の数が減少しているはずはないし増加しているだろうと考えます。
- そうではないのですね。ここまでチェックすることはないので、びっくりです。
- センター数も(858 ⇒ 853 ▲ 5)相談員数(3,379 ⇒ 3,324 ▲ 55)も減少しているとのことです。
- 地方消費者行政が後退しているのかと思ってしまいますね。ただ、減少していると言えるほどの数字ではないような「ほぼ横ばい」という気もします。
- なお、例年4月1日現在の調査結果ですが、11月公表ですので、試験対象としては前年度の令和2年度になります。
したがって、問題1⑥は〇(正しい文章)です。 こんな問題出すかという意地悪問題ですね。ちなみに、令和3年度の調査ではともに増加しています。
「令和2年度地方消費者行政の現況調査」(消費者庁)
(1)消費生活センターの数:都道府県及び政令市のサブセンター数が減少 ※858 ⇒ 853 ▲ 5
(1)消費生活相談員の配置:相談員数は前年比減 ※3,379 ⇒ 3,324 ▲ 55
令和2年度版
消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 地方協力 > 地方消費者行政の支援に関する業務 > 地方消費者行政の現状 > 令和2年度地方消費者行政の現況調査
令和2年度地方消費者行政の現況調査
地方消費者行政の現状・ポイント(令和2年11月)[PDF:250KB]「令和2年度地方消費者行政の現況調査」(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/status_investigation/2020/
2.(2)消費生活センターの数:都道府県及び政令市のサブセンター数が減少 ※858 ⇒ 853 ▲ 5
3.(1)消費生活相談員の配置:相談員数は前年比減 ※3,379 ⇒ 3,324 ▲ 55
令和3年度版
消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 地方協力 > 地方消費者行政の支援に関する業務 > 地方消費者行政の現状 > 令和3年度地方消費者行政の現況調査
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/status_investigation/2021/
令和3年度地方消費者行政の現況調査
地方消費者行政の現況・ポイント(令和3年10月)[PDF:258KB]
地方消費者行政の現況・報告書(令和3年10月)[PDF:1.3MB]
2.(2)消費生活センターの数:政令市は前年比減。市区町村(政令市を除く)は前年比増。※853 ⇒ 854 1
3.(1)消費生活相談員の配置:相談員数は前年比増。※3,324 ⇒ 3,335 11
【2020年度 問題1⑦ 地方消費者行政の現況調査(相談窓口の設置と相談員の資格保有) B ※一般常識で対応可能】
⑦ 2019(令和元)年度の「地方消費者行政の現況調査」によると、2019(平成31)年4月現在、全国のすべての市区町村に相談窓口が設置されており、配置されている相談員も全員が消費生活相談員の資格保有者である。
【正答】⑦→×(誤っている文章)※配置されている相談員「全員」が有資格者というわけではない
問題1⑦ 消費者安全法(第8条・市町村と都道府県の相談事務の違い)AB
⑦ 消費者安全法上、市町村は、事業者に対する消費者からの苦情相談への対応や苦情処理のためのあっせんを行うこととされている。他方、都道府県は、これらの消費生活相談事務のうち、各市町村の区域を超えた広域的な見地からの対応・実施を必要とするものを主として行うこととされている。
- 消費生活相談についての都道府県と市町村の役割分担の問題です。
- 常識的に考えて市町村は地域密着、都道府県は市町村をまたぐ広域的な業務というのは理解できると思います。
- 第8条にそれぞれの事務が列挙されています。消費生活センターも同じような感じですね。
したがって、問題1⑦は○(正しい文章)です。簡単ですね。ただし、市町村と都道府県を逆にした引っ掛け問題になってたら要注意です
第三章 消費生活相談等
第一節 消費生活相談等の事務の実施
(都道府県及び市町村による消費生活相談等の事務の実施)
第八条 都道府県は、次に掲げる事務を行うものとする。
一 次項各号に掲げる市町村の事務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整及び市町村に対する必要な助言、協力、情報の提供その他の援助を行うこと。
二 消費者安全の確保に関し、主として次に掲げる事務を行うこと。
イ 事業者に対する消費者からの苦情に係る相談のうち、その対応に各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とするものに応じること。
ロ 事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんのうち、その実施に各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とするものを行うこと。
ハ 消費者事故等の状況及び動向を把握するために必要な調査又は分析であって、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
ニ 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、消費者安全の確保のために必要な情報を収集し、及び住民に対し提供すること。
三 市町村との間で消費者事故等の発生に関する情報を交換すること。
四 消費者安全の確保に関し、関係機関との連絡調整を行うこと。
五 前各号に掲げる事務に附帯する事務を行うこと。
2 市町村は、次に掲げる事務を行うものとする。
一 消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情に係る相談に応じること。
二 消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんを行うこと。
三 消費者安全の確保のために必要な情報を収集し、及び住民に対し提供すること。
四 都道府県との間で消費者事故等の発生に関する情報を交換すること。
五 消費者安全の確保に関し、関係機関との連絡調整を行うこと。
六 前各号に掲げる事務に附帯する事務を行うこと。
3 都道府県は、市町村が前項各号に掲げる事務を他の市町村と共同して処理しようとする場合又は他の市町村に委託しようとする場合は、関係市町村の求めに応じ、市町村相互間における必要な調整を行うことができる。
4 第一項各号に掲げる事務に従事する都道府県の職員若しくはその職にあった者又は第二項各号に掲げる事務に従事する市町村の職員若しくはその職にあった者は、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
問題1⑧ 消費者安全法(第11条の2・地方公共団体の長に対する情報の提供)BC ※過去出題あり
⑧ 消費者安全法では、内閣総理大臣は、地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、当該地方公共団体の長に対し、当該住民で消費生活上特に配慮を要する購入者に関する情報を提供することができると規定されている。
- 「購入者に関する情報」って個人情報だし、そんなの国が提供してもいいのか?と思うかもしれませんが、「特に配慮を要する」とあるので、高齢者などが被害や事故にあわないために、名簿などの情報を自治体からの求めに応じて国が提供して安全を確保すると想像すればイメージがわくと思います。個人情報保護法の第三者提供の例外のような感じかもしれませんね。
- この問題は初めて聞いたら「誤り」ではないかと思うかもしれませんが、すでに平成29年度に出題されていますので、過去問対策済みのポイントということですね。
したがって、問題1⑧は○(正しい文章)です。
第三節 地方公共団体の長に対する情報の提供
第十一条の二 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、当該地方公共団体の長に対し、消費生活上特に配慮を要する購入者に関する情報その他の内閣府令で定める情報で、当該地方公共団体の住民に関するものを提供することができる。
2 地方公共団体の長は、内閣府令で定めるところにより、他の地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、当該他の地方公共団体の長に対し、消費生活相談の事務の実施により得られた情報で、当該他の地方公共団体の住民に関するものを提供することができる。
3 国民生活センターの長は、内閣府令で定めるところにより、地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、当該地方公共団体の長に対し、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理のあっせん及び当該苦情に係る相談の業務の実施により得られた情報で、当該地方公共団体の住民に関するものを提供することができる。
【平成29年度 問題4②オ・5肢2択】
オ 内閣総理大臣は、地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、当該地方公共団体の長に対し、消費生活上特に配慮を要する購入者に関する情報等で、当該地方公共団体の住民に関するものを提供することができる。
【正答 オ→〇(正しい文章)】
【正答】
⑤→×、⑥→〇、⑦→〇、⑧→〇