相談員試験での出題ポイント

  • 問題1(正誤〇×)で国民生活センターの事業について出題される⇒知っておくこと+過去問対策
  • 問題3(5肢2択)でPIO-NETの相談統計の問題が必ず出題される⇒前々年度のデータが前年度の8月に公表される(=消費者白書)
  • 訴訟関係で、国民生活センターの紛争処理がときどき出題される
  • 2020年で国民生活センターが設立50年⇒WEB版国民生活でその歴史の特集あり

ホームページのトップページ下のバナーでのお知らせに注目(2021/1/19時点でスクリーンショットを引用しています)
(引用元:http://www.kokusen.go.jp

  • 医師からの事故情報受付窓口
  • 海外ショッピングのトラブル相談…越境消費者センター(CCJ)
  • ADR(裁判外紛争解決手続)の紹介
  • 訪日観光客消費者ホットライン/Consumer Hotline for Tourists

「相談窓口・情報受付」のうちの4つが該当しますが「医師からの事故情報受付窓口」はあまり重要ではないかな?いちおう知っとくだけで。それ以外の3つは出題されています。特に、CCJは頻出

そのほか、「特定適格消費者団体の申立てに係る仮差押命令の担保を立てること」(消費者裁判手続特例法制定の関連)

【平成30年度 問題1】
⑥ 2017(平成 29)年 10 月、特定適格消費者団体が消費者被害の回復のための民事の裁判手続の中で、仮差押命令を申し立てる際に担保金を手当てすることが困難な場合に備え、国民生活センターがそれを援助する制度が新設された。
【正答 〇】

(おまけ情報)平成28年度に新試験になってから2020年度試験までの問題1の国民生活センターの正誤問題8問はすべて〇(国民生活センター自身の業務を×にしたくない?)

PIO-NET

  • 論文試験での頻出指定語句でもある
  • 以前は、各センターに独自システムの端末が1台あって紙ベースの相談カードを手入力していたが、さすがのインターネットの普及で、独自端末が不要なブラウザーでの入力システムに移行したことにより、リアルタイムで相談情報を入力・収集することができるようになった。ブラウザーでの入力システムとは、ソフトをインストール(もしくはURLでアクセス)すれば、どのPCでもIDとパスワードでつなげることができる(セキュリティシステムあり)。迅速化や効率化がすすんだ。ただし、パソコンを使える能力とシステムを使いこなす能力が必要なことから、年齢層が高い相談員にとって、ハードルが高い場合もあるが、やるしかないということです。
  • 紙ベースの時代を含めて、相談情報を誰が見てもわかりやすいものとするために、文章作成能力が問われるが、残念ながら、何が言いたいのかわからない相談情報もある。文章作成能力が相談員に必要とされる能力であるのはPIO-NET入力のことでもある。
  • 私がいたセンターでは、すべての相談が紙ベースで回覧されて決裁されることになっている。赤ペンを入れたり、分からなところや詳しく聞きたいところは直接相談員に確認したりしていた。消費生活センターに在籍した11年間に、ざっくり1年に1-1.5万件として11年で15万件ほどの相談情報に目を通し決裁したことになり、最近の新しい相談事例を除き、典型的な相談など、たいていの相談は直接的・間接的に経験して知っている。職員では一番年下だったので最後に数日分がまとめて回ってくるときもあるが、がんばって目を通したのが今に役立っている。自分の相談で手いっぱいの相談員より数をこなしているので詳しいかもしれない。1日当たり40-50件になるので、田舎の消費生活センターだと1か月分の件数だったりするので、経験の蓄積に大きな差ができる。15万件のリアルな相談情報に目を通しているのは、日本全国、そうそういないのではないかと思う。

消費者安全法における消費生活センターの要件としてPIO-NET用の端末の設置があげられている(条文では「適切な電子情報処理組織その他の設備」)

消費者安全法

(消費生活センターの設置)
第十条 都道府県は、第八条第一項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置しなければならない。
一 消費生活相談員を第八条第一項第二号イ及びロに掲げる事務に従事させるものであること。
二 第八条第一項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
三 その他第八条第一項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。
2 市町村は、必要に応じ、第八条第二項各号に掲げる事務を行うため、次に掲げる要件に該当する施設又は機関を設置するよう努めなければならない。
一 消費生活相談員を第八条第二項第一号及び第二号に掲げる事務に従事させるものであること。
二 第八条第二項各号に掲げる事務の効率的な実施のために適切な電子情報処理組織その他の設備を備えているものであること。
三 その他第八条第二項各号に掲げる事務を適切に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。
3 前項の規定により同項の施設又は機関を設置する市町村以外の市町村は、第八条第二項第一号及び第二号に掲げる事務に従事させるため、消費生活相談員を置くよう努めなければならない。

PIO-NETの紹介(国民生活センターHPより)

【論文試験での指定語句のPIO-NET説明】
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結び、消費者から消費生活センターに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報(消費生活相談情報)の収集を行っているシステムです。

【論文試験での指定語句PIO-NETの活用】
・行政機関による消費者被害の未然防止・拡大防止のための、法執行への活用など
・国・地方公共団体の消費者政策の企画・立案及び国民・住民への情報提供
・地方公共団体(消費生活センター)の消費生活相談業務に対する支援

国民生活センターHP
トップページ > 国民生活センターについて > 国民生活センターの紹介 > 業務案内 > 相談情報の収集・管理 > PIO-NETの紹介[2019年10月11日:更新]

PIO-NETの紹介
 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結び、消費者から消費生活センターに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報(消費生活相談情報)の収集を行っているシステムです。

PIO-NETとは
 地方公共団体は、商品やサービスなど消費生活全般に関するさまざまな苦情相談を受け付ける相談窓口(消費生活センター)を設置し、消費生活相談員による問題解決の支援(相談処理)を行っています。

 消費生活相談員が、消費者(相談者)から苦情相談を受けたときは、相談者から「聞き取り」を行い、相談の内容に応じた苦情の解決のための「相談処理」を行います。

 「聞き取り」から「相談処理」の過程はすべて記録され、全国の消費生活センターには、このような苦情相談の記録が蓄積されます。

 この苦情相談の記録を収集して、消費者行政に役立てることを目的として構築されたのが、「全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET※)」です。

 情報の内容は、苦情相談の記録を整理した要約です。

※ Practical Living Information Online Network System

PIO-NETの目的
・行政機関による消費者被害の未然防止・拡大防止のための、法執行への活用など
・国・地方公共団体の消費者政策の企画・立案及び国民・住民への情報提供
・地方公共団体(消費生活センター)の消費生活相談業務に対する支援

PIO-NETの特徴
・わが国最大の消費生活相談情報を収集・蓄積したシステム(信頼性の高い相談情報データベース)
・国や地方公共団体の消費者行政の基礎情報

PIO-NET(消費生活相談情報)の活用
PIO-NETを中心とした消費生活相談情報の活用の説明図

消費生活相談情報件数の推移
 2008年度以降、年間約90万件が登録されており、2017年度は約94万件が登録されています。

 利用した覚えのないサイト利用料の請求など「架空請求」の相談は2012年度から再び増加傾向にあり、2017年度は約19.9万件あり、2016年度(約8.3万件)に比べ大幅に増加しました。

PIO-NETの接続先【2019年8月現在】
消費生活センター:約1,250カ所(専用端末 約3,300台)
中央省庁等:15カ所

http://www.kokusen.go.jp/pionet/index.html

WEB版国民生活 2020年10月号(No.98)
特集 国民生活センター創立50周年企画 国民生活センターの見てきた半世紀とこれから

WEB版国民生活 2020年10月号(No.98)
特集 国民生活センター創立50周年企画 国民生活センターの見てきた半世紀とこれから

1 国民生活センター創立50周年を迎えて[PDF形式](814KB)
【執筆者】松本 恒雄(国民生活センター 前理事長)
2 座談会 国民生活センターのこれまでとこれから[PDF形式](1.4MB)
【参加者】今井 純子(日本放送協会 解説委員)、坂倉 忠夫(消費者関連専門家会議 専務理事)、佐久間 泰次(神戸市経済観光局消費生活センター 所長)、志部 淳之介(弁護士)、増田 悦子(全国消費生活相談員協会 理事長)、松本 恒雄(国民生活センター 前理事長、司会進行)、川口 徳子(国民生活センター 理事)
【編集】国民生活センター 広報部
3 国民生活センターの50年-こんなことがありました-[PDF形式](642KB)
【編集】国民生活センター
国民生活センターは、2020年10月に創立50周年を迎えました。そこで、最近の国民生活センターの活動や取り組みを振り返るとともに、これからの消費者の生活、消費者行政のあり方、国民生活センターに期待することなどについて、座談会を開催し、さまざまな分野の皆様とともに議論をしました。また、国民生活センターの歩んできた50年を年表で振り返ります。

http://www.kokusen.go.jp/wko/data/wko-202010.html

国民生活センター50周年記念誌 -創立1970年からのあゆみ-

国民生活センターHP
トップページ > 国民生活センターについて > 国民生活センターの紹介 > 国民生活センター50周年記念誌 -創立1970年からのあゆみ-

国民生活センター50周年記念誌 -創立1970年からのあゆみ-

 この度、2020年10月1日で創立50年の節目を迎えるにあたり、国民生活センターの50年間の活動を記録した『国民生活センター50周年記念誌-創立1970年からのあゆみ-』を9月30日に刊行いたしました。

 本誌では50年間の国民生活センターの業務内容や相談件数の推移等の資料を掲載しておりますので、参考にしていただければ幸いです。

http://www.kokusen.go.jp/hello/commemorative/50th.html

過去問

【2020年度問題1】
⑥ 日本を訪問した外国人観光客が、飲食店や販売店、宿泊施設等との間で消費者トラブルにあった場合に相談できる窓口として、「訪日観光客消費者ホットライン」が国民生活センターに設置されている。

【2020年度問題2②】
国民生活センターは、特殊法人として設立され、2020(令和2)年 10 月1日で[ ク ]周年を迎えた。消費者基本法において、国民生活センターの役割は、「国及び地方公共団体の関係機関、[ ケ ]等と連携」し、消費生活に関する情報収集・提供、苦情相談等における「[ コ ]な機関として積極的な役割を果たすものとする」と定められている。

【2019年度・再試験 問題1】
④ 「訪日観光客消費者ホットライン」は、日本を訪れた外国人観光客が日本滞在中に消費者トラブルにあった場合に相談できる電話相談窓口であり、国民生活センターが運営している。

【2019年度・再試験 問題1】
⑥ 医療機関ネットワーク事業は、消費者庁と国民生活センターの共同事業として実施され、消費生活において生命又は身体に被害を生ずる事故にあい、医療機関を利用した被害者の事故情報を、医療機関から収集するものである。

【2019年度・本試験 問題1】
⑤ 国民生活センターは、グローバル化の進展に伴い、海外ネットショッピングなど、海外の事業者との取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口である「越境消費者センター(CCJ)」を設置している。

【平成30年度 問題1】
⑥ 2017(平成 29)年 10 月、特定適格消費者団体が消費者被害の回復のための民事の裁判手続の中で、仮差押命令を申し立てる際に担保金を手当てすることが困難な場合に備え、国民生活センターがそれを援助する制度が新設された。

【平成29年度 問題1】
⑥ 国民生活センターでは、「全国消費生活情報ネットワークシステム」(PIO-NET)を通じて、全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談情報を収集している。収集された情報は、各消費生活センター等での相談処理に活用されるとともに、国や地方公共団体の消費者政策の企画・立案及び国民への情報提供、行政機関による法執行等に活用されている。

【平成28年度 問題1】
⑧ 国民生活センター越境消費者センター( CCJ )は、韓国消費者院等の海外の消費者相談機関と連携し、日本の消費者と海外の事業者との間の越境取引に関する消費者相談業務を行っている。

【平成28年度 問題4】
① 国民生活センターは、国民生活の安定及び向上に寄与するため、国民生活に関する情報提供及び調査・研究を行うことを目的とした特殊法人として[ ア ]年に設立された。2003(平成15)年から今日に至るまで、独立行政法人として消費生活に関する情報収集・提供、苦情相談などの[ イ ]な実施機関としての役割を果たしている。主な業務としては、消費生活相談情報の収集・分析・提供、苦情相談、商品テスト、広報・啓発、研修、ADR(裁判外紛争解決手続)等がある。一方、消費生活センターは、[ ウ ]法に基づいて、消費者からの苦情に関する相談、あっせん及び情報提供等の事務を行うため、都道府県や市町村によって設置されている。地方自治法上、各地方公共団体における消費者行政に係る事務は、[ エ ]事務と位置づけられる。[ ウ ]法によって市町村には消費生活センターの設置に関する[ オ ]義務が規定されている。

【平成28年度 問題19】
① 国民生活センターの紛争解決委員会は、㋐ 重要消費者紛争に関して 、和解の仲介手続や仲裁手続を実施することができる。㋑ 手続自体は非公開で行われるが、手続が終了した場合、国民生活の安定・向上を図るために必要があるときは、紛争解決委員会は ㋒手続実施事案における結果の概要 を公表することができる。

【平成27年度 問題1】⑦ 1970年代には、「マルチ商法」と呼ばれる商形態が広まり始めた。これらを規制するため、㋐割賦販売法が制定された。また、国民生活センターが、㋑苦情相談対応、㋒調査研究等を担う機関として1970年に設立された。

過去問・正答

【2020年度問題1】⑥→〇

【2020年度問題2②】
国民生活センターは、特殊法人として設立され、2020(令和2)年 10 月1日で[ ク 50 ]周年を迎えた。消費者基本法において、国民生活センターの役割は、「国及び地方公共団体の関係機関、[ ケ 消費者団体 ]等と連携」し、消費生活に関する情報収集・提供、苦情相談等における「[ コ  中核的]な機関として積極的な役割を果たすものとする」と定められている。

【2019年度・再試験 問題1】④→〇

【2019年度・再試験 問題1】⑥→〇

【2019年度・本試験 問題1】⑤→〇

【平成30年度 問題1】⑥→〇

【平成29年度 問題1】⑥→〇

【平成28年度 問題1】⑧→〇

【平成28年度 問題4】
① 国民生活センターは、国民生活の安定及び向上に寄与するため、国民生活に関する情報提供及び調査・研究を行うことを目的とした特殊法人として[ ア 1970年 昭和45]年に設立された。2003(平成15)年から今日に至るまで、独立行政法人として消費生活に関する情報収集・提供、苦情相談などの[ イ  中核的]な実施機関としての役割を果たしている。主な業務としては、消費生活相談情報の収集・分析・提供、苦情相談、商品テスト、広報・啓発、研修、ADR(裁判外紛争解決手続)等がある。一方、消費生活センターは、[ ウ  消費者安全]法に基づいて、消費者からの苦情に関する相談、あっせん及び情報提供等の事務を行うため、都道府県や市町村によって設置されている。地方自治法上、各地方公共団体における消費者行政に係る事務は、[ エ  自治]事務と位置づけられる。[ ウ 消費者安全 ]法によって市町村には消費生活センターの設置に関する[ オ  努力]義務が規定されている。

【平成28年度 問題19】①→〇

【平成27年度 問題1】⑦→×ア ※特定商取引法(訪問販売法)

法律改正

独立行政法人国民生活センター法等の一部を改正する法律(平成29年6月2日公布、平成29年10月1日施行)

「等」とあるように独立行政法人国民生活センター法だけではなく、合わせて3つの関連する法律が改正されています。

○独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)(第一条関係)
○消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)(第二条関係)
○消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(平成二十五年法律第九十六号)(第三条関係)

背景・経緯

  • 消費者契約法改正(平成18年)…適格消費者団体による差止請求の制度を創設。
  • 消費者裁判手続特例法制定(平成25年)…特定適格消費者団体による被害回復の制度を創設。
    【附則第4条】政府は、特定適格消費者団体による被害回復関係業務の適正な遂行に必要な資金の確保、情報の提供その他の特定適格消費者団体に対する支援の在り方について、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
  • この改正で「資金の確保」と「支援の在り方」について必要な措置が講じられることになった

独立行政法人国民生活センター法

1.目的の追加

(センターの目的)
第三条 独立行政法人国民生活センター(以下「センター」という。)は、国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行うとともに、重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施し、及びその利用を容易にすることを目的とする。

重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施することだけだったのに加えて、その利用を容易にすることが追加された。

2.業務の追加(10条第7項)

特定適格消費者団体の申立てに係る仮差押命令の担保を立てること。

3.借入金の規定

10条第7項の担保を立てるために必要な長期借入金ができるように規定(43条の2)

消費者裁判手続特例法

国民生活センターの担保を立てる業務について相互に連携協力する努力義務(新設)

(特定適格消費者団体等の責務)
第七十五条
4 特定適格消費者団体、独立行政法人国民生活センターその他の関係者は、独立行政法人国民生活センターが行う独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)第十条第七号に掲げる業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。

消費者契約法 ※3年から6年という数字は択一試験対策として頭に入れておくこと

実は担保を立てることとは直接関係していない改正

事務の軽減を図るために、特定適格消費者団体の認定の更新期間が3年から6年に延長
※ただし、適格消費者団体の更新期間は3年のままなので効果は低いかも

(認定の有効期間等)
第十七条第十三条第一項の認定の有効期間は、当該認定の日から起算して六年とする。

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