2019年度(本試験) 問題1⑤~⑧ 消費者行政と関連法(正誤○×)その3(一般公開中)

1. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

⑤ 国民生活センターは、グローバル化の進展に伴い、海外ネットショッピングなど、海外の事業者との取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口である「越境消費者センター(CCJ)」を設置している。

⑥ 「事故情報データバンクシステム」とは、食品安全基本法に基づき、関係行政機関に情報提供される食品安全に関する事故情報を一元的に集約したデータベースをいう。これは、消費者庁と内閣府食品安全委員会が共同運営している。

⑦ 市町村は、高齢者等の消費者被害防止のための取組として、消費者安全法における「消費者安全確保地域協議会」を組織しなければならない。

⑧ 地方公共団体の長からの求めがある場合に、内閣総理大臣は、消費者安全法に基づき、見守り活動のために必要な限度において、本人の同意がある場合に限り、消費生活上特に配慮を要する購入者に関する個人情報を提供することができる。

2019年度(本試験) 問題1⑤ 国民生活センター越境消費者センター(CCJ) A

⑤ 国民生活センターは、グローバル化の進展に伴い、海外ネットショッピングなど、海外の事業者との取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口である「越境消費者センター(CCJ)」を設置している。

  • 国民生活センターの業務について毎年のように出題されています。
  • その中でも「越境消費者センター(CCJ)」は重要な業務の1つです。
  • この事業は、消費者庁の委託事業なのですが、もともとはECネットワークという団体が受けていましたが、ECネットワークへの委託は2014年度で終了し、2015年6月から国民生活センターが委託を受けて事業をするようになり現在に至ってます。
  • 平成28年度試験に出題されています。そのときの解説を再掲しておきます。

したがって、問題1⑤は○(正しい文章)です。

国民生活センターHP
ホーム >CCJについて>CCJについて
https://www.ccj.kokusen.go.jp/ccj_syki

国民生活センター越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)は、海外の事業者との間での取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口です。
独立行政法人国民生活センターが運営しています。

インターネットでの海外事業者との取引(商品購入、宿泊予約等)や海外での現地取引(旅行先の商品購入、サービス利用等)のトラブル解決をお手伝いいたします。
CCJは、原則メールで、解決方法のアドバイスや必要に応じて英語翻訳支援等を行います。また、複数ヵ国の海外の窓口機関と連携しており、必要に応じて海外機関を通じて相手国事業者に相談内容を伝達するなどして海外事業者に対応を促します。

https://www.ccj.kokusen.go.jp/ccj_syki

28年度問題1
⑧ 国民生活センター越境消費者センター(CCJ)は、韓国消費者院等の海外の消費者相談機関と連携し、日本の消費者と海外の事業者との間の越境取引に関する消費者相談業務を行っている。
【正答】⑧→○(正しい文章)

【解説】
この問題の裏目的は、相談員なら、このことを知っておきなさいよという教育でしょう。「韓国消費者院」が正しいかどうかは気にする必要はないです。

越境取引に関する消費者相談窓口:国民生活センター越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)
https://www.ccj.kokusen.go.jp

当初は一般社団法人ECネットワーク(http://www.ecnetwork.jp)が、2011年11月から消費者庁から委託を受けて「消費者庁越境消費者センター(CCJ)」を開設しました。
ECネットワークの原田由里さんが消費者庁創設のときの地方消費者行政活性化基金を使った消費者センターのインターネットトラブルの研修講師をしていて、ほぼ全国を回っていました。有名人です。私も何度か研修でお見かけしました。基金が終了してから、ばったり研修はなくなりましたので、なんともいえない研修バブルでした。ECネットワークへの委託は2014年度で終了し、2015年6月から国民生活センターが委託を受けて事業をするようになり現在に至ってます。

海外での取引の相談が消費者からあった場合は、CCJを紹介するというパターンです。覚えておいてください。ということで、⑧はすべて正解です。

2019年度(本試験) 問題1⑥ 事故情報データバンクシステム AB

⑥ 「事故情報データバンクシステム」とは、食品安全基本法に基づき、関係行政機関に情報提供される食品安全に関する事故情報を一元的に集約したデータベースをいう。これは、消費者庁と内閣府食品安全委員会が共同運営している。

  • こういう初心者的な引っ掛け問題に引っかからないようにしてください。
  • 論文対策でもしつこくやっている「消費者安全法」のポイントの1つである事故情報の収集公表制度です。
  • 食品をはじめ、日用品、医療事故など、あらゆる事故情報を消費者庁で一元的に収集するために構築されたシステムが「事故情報データバンクシステム」です。
  • いかにも正しそうな文章ですが、このような引っ掛け方をするのだなという教訓にしてください。

よくある質問
Q1 :事故情報データバンクはどういうシステムですか。
関係行政機関が保有する生命・身体に係る消費生活上の事故の情報を一元的に集約したデータベースです。 事故の再発、拡大の防止に資する環境整備の一環として、消費者庁と(独)国民生活センターが連携して、 関係行政機関等の協力を得て実施している事業です。 国民の方々はインターネットから事故情報を自由に閲覧・検索することができます。

http://www.jikojoho.go.jp/ai_national/help/faq.jsp

したがって、問題1⑥は×(誤っている文章)です。

2019年度(本試験) 問題1⑦ 消費者安全法・消費者安全確保地域協議会 BC

⑦ 市町村は、高齢者等の消費者被害防止のための取組として、消費者安全法における「消費者安全確保地域協議会」を組織しなければならない。

  • 相談員試験の勉強しているなら、消費者安全確保地域協議会=(高齢者)見守りネットワーク=消費者安全法=消費者教育、などの関連キーワードが浮かんでくると思います。
  • 「消費者安全確保地域協議会」は消費者安全法に最初から組み込まれていたのではなく、消費者安全法の改正(平成26年6月13日公布・平成28年4月1日施行)により追加されたものです。ちなみに、相談員の国家資格化の改正と同時です。
  • さて、ここで単純に正解としてもいいのですが、今後のために引っ掛けポイントを紹介します。2つあって、1つは「市町村は」、もう1つは「組織しなければならない」です。主語と、義務か努力義務化は試験でも時々悩みポイントにもなります。
  • さあ、すべての市町村に協議会の設置義務があるとして実現可能でしょうか?難しいですよね。つまり、「義務」とまでしてしまうのは厳しいでしょう、ということです。正解としては、作りたければ作ることができる。自治体の実情に合わせて必要に応じて作ることができる、という感じですね。
  • 条文では「市町村」という表現ではなく、「国及び地方公共団体の機関~(関係機関)」となっています。都道府県でも組織できるということですし、実際に都道府県単位で組織しているところもあります(協議会一覧表もあり)。
  • 問題文を正しく修正すれば『市町村は、高齢者等の消費者被害防止のための取組として、消費者安全法における「消費者安全確保地域協議会」を組織することができる。』で正しい文章になります(主語が「都道府県や市町村は」や「国及び地方公共団体の機関は」というのでも、意味合い的には正解かなと思います。

したがって、問題1⑦は×(誤っている文章)です。

消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 地方協力 > 消費者の安全・安心確保のための制度整備 > 消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/system_improvement/network/

消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)
平成26年6月の消費者安全法(平成21年法律第50号)の改正により、高齢者、障がい者、認知症等により判断力が不十分となった者の消費者被害を防ぐため、地方公共団体及び地域の関係者が連携して見守り活動を行う「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)」を設置できることが規定されました 。

消費者安全法の改正(平成26年6月)

1.設置状況
消費者安全確保地域協議会 設置状況一覧(全国)
消費者安全確保地域協議会 設置済地方公共団体 [2020年1月末日現在]

協議会設置自治体数:248自治体(うち5万人以上の市区:118自治体)

地方公共団体から2020年1月末日までに消費者庁に対して設置報告のあった協議会を掲載しております。
※広域連携による設置を含みます。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/system_improvement/network/

消費者安全法

第四節 消費者安全の確保のための協議会等
(消費者安全確保地域協議会)
第十一条の三 国及び地方公共団体の機関であって、消費者の利益の擁護及び増進に関連する分野の事務に従事するもの(以下この条において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域における消費者安全の確保のための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される消費者安全確保地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。
2 前項の規定により協議会を組織する関係機関は、必要があると認めるときは、病院、教育機関、第十一条の七第一項の消費生活協力団体又は消費生活協力員その他の関係者を構成員として加えることができる。
(協議会の事務等)
第十一条の四 協議会は、前条の目的を達成するため、必要な情報を交換するとともに、消費者安全の確保のための取組に関する協議を行うものとする。
2 協議会の構成員(次項において単に「構成員」という。)は、前項の協議の結果に基づき、消費者安全の確保のため、消費生活上特に配慮を要する消費者と適当な接触を保ち、その状況を見守ることその他の必要な取組を行うものとする。
3 協議会は、第一項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるとき、又は構成員が行う消費者安全の確保のための取組に関し他の構成員から要請があった場合その他の内閣府令で定める場合において必要があると認めるときは、構成員に対し、消費生活上特に配慮を要する消費者に関する情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができる。
4 協議会の庶務は、協議会を構成する地方公共団体において処理する。
(秘密保持義務)
第十一条の五 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(協議会の定める事項)
第十一条の六 前三条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
(消費生活協力団体及び消費生活協力員)
第十一条の七 地方公共団体の長は、消費者の利益の擁護又は増進を図るための活動を行う民間の団体又は個人のうちから、消費生活協力団体又は消費生活協力員を委嘱することができる。
2 消費生活協力団体及び消費生活協力員は、次に掲げる活動を行う。
一 消費者安全の確保に関し住民の理解を深めること。
二 消費者安全の確保のための活動を行う住民に対し、当該活動に関する情報の提供その他の協力をすること。
三 消費者安全の確保のために必要な情報を地方公共団体に提供することその他国又は地方公共団体が行う施策に必要な協力をすること。
四 前三号に掲げるもののほか、地域における消費者安全の確保のための活動であって、内閣府令で定めるものを行うこと。
3 地方公共団体の長は、消費生活協力団体及び消費生活協力員に対し、前項各号に掲げる活動に資するよう、研修の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(秘密保持義務)
第十一条の八 消費生活協力団体の役員若しくは職員若しくは消費生活協力員又はこれらの者であった者は、前条第二項各号に掲げる活動に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

2019年度(本試験) 問題1⑧ 消費者安全法・見守り活動への情報提供 BC ※変化球

⑧ 地方公共団体の長からの求めがある場合に、内閣総理大臣は、消費者安全法に基づき、見守り活動のために必要な限度において、本人の同意がある場合に限り、消費生活上特に配慮を要する購入者に関する個人情報を提供することができる。

  • この問題は結構な変化球が織り交ぜられています。ただ、読んでみると、直感的に不正解なような気がします。その直感で解答しても大丈夫です。そういう違和感を感じることが相談員試験のポイントです。
  • 違和感は「本人の同意がある場合に限り」というところですよね。安全のために必要だったら、本人の同意も何もないですよね。という感覚でいいと思います。これで、この問題は不正解という判断ができますが、そのほかの部分を確認します。
  • 「購入者」という聞きなれない言葉が出てきているので、不正解としたいところですが、これは条文にある単語ですね。これで不正解としても、他のところで不正解部分があるので結果オーライになりますが。要は、「被害に遭った消費者」が「購入者」ということになります。
  • まず、根拠条文は第11条の2になります。ただし、問題文は条文そのままではなくて、具体的な言葉に置き換わっているのです。 「見守り活動のために 」と「購入者に関する個人情報」という2か所ですね。前者は、条文での「消費者安全の確保のために」の、後者は「内閣府令で定める情報」の具体例になっているかどうかということです。直感的にも具体例になっているということでいいと思います。
  • 「見守り活動のために 」というのは、消費者安全法施行規則第8条の10の第1項に「見守ること」「消費者安全確保地域協議会」における必要な取組のために」などの文言があります。
  • 「購入者に関する個人情報」についても、消費者安全法施行規則第8条の13に、「特定商取引に関する法律」「購入者等の情報のうち、氏名、住所その他」などの文言があります。
  • なかなか奥深いですね。そこまで知っている人はほとんどいないと思いますが、せっかくなので確認してきましょう。
  • あとは、この問題の内容に「見守り」という言葉が使われているのは、直前の⑦が「消費者安全確保地域協議会」の問題だったからでしょう。

したがって、問題1⑧は×(誤っている文章)です。内容的には難易度Cですが、正解できるポイントが分かりやすいということでBに近いですね。

消費者安全法

第三節 地方公共団体の長に対する情報の提供
第十一条の二 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、当該地方公共団体の長に対し、消費生活上特に配慮を要する購入者に関する情報その他の内閣府令で定める情報で、当該地方公共団体の住民に関するものを提供することができる。
2 地方公共団体の長は、内閣府令で定めるところにより、他の地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、当該他の地方公共団体の長に対し、消費生活相談の事務の実施により得られた情報で、当該他の地方公共団体の住民に関するものを提供することができる。
3 国民生活センターの長は、内閣府令で定めるところにより、地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、当該地方公共団体の長に対し、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理のあっせん及び当該苦情に係る相談の業務の実施により得られた情報で、当該地方公共団体の住民に関するものを提供することができる。

消費者安全法施行規則

第八条の十 消費者庁長官は、前条第一項の求めがあったときは、消費者安全の確保のために必要であると認められる場合であって、次に掲げる要件のいずれにも該当すると認められるときには、地方公共団体の長に対し、法第十一条の二第一項に規定する情報を提供することができる。
一 当該情報を、消費者安全の確保のため、消費生活上特に配慮を要する消費者と適当な接触を保ち、その状況を見守ることその他の法第十一条の三第一項に規定する消費者安全確保地域協議会における必要な取組のためにのみ用いること。
二 当該情報を適正に管理するために必要な措置が講じられていること。
2 消費者庁長官は、法第十一条の二第一項に規定する情報を提供しようとする場合は、地方公共団体の長に対し、その旨を通知するものとする。

(法第十一条の二第一項の規定により提供する情報)
第八条の十三 法第十一条の二第一項に規定する内閣府令で定める情報は、国の行政機関が特定商取引に関する法律の規定に違反する行為についての調査により取得した消費生活上特に配慮を要する購入者等の情報のうち、氏名、住所その他消費者庁長官が必要と認めるもの(同法の適正な執行に支障を及ぼさないと認められる場合に限る。)とする。

【正答】
⑤→〇、⑥→×、⑦→×、⑧→×