2020年度 問題1 消費者行政と関連法(正誤○×)その1(一般公開中)

1.次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 消費者基本法では、国の基本的施策として、消費者安全の確保、消費者契約の適正化、広告その他の表示の適正化、公正自由な競争の促進等が定められている。

② 消費者基本法は、消費者庁と消費者委員会の発足にあわせ、2009(平成 21)年に消費者保護基本法を抜本的に改正したものであり、消費者政策の基本理念をはじめとして、国や地方公共団体、事業者の責務を規定している。

③ 消費者基本法では、地方公共団体は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあっせん等に努めなければならないと規定されている。

④ 「地方消費者行政強化作戦 2020」によれば、地方自治法上、地方消費者行政は自治事務であって、地方公共団体の自主性・自立性を尊重するため、地方消費者行政の充実・強化に関する交付金を廃止し、地方公共団体による自主財源の確保を要請している。

⑤ 消費者契約法に基づき、不特定かつ多数の消費者の利益のために差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けた法人を、特定適格消費者団体という。

⑥ 日本を訪問した外国人観光客が、飲食店や販売店、宿泊施設等との間で消費者トラブルにあった場合に相談できる窓口として、「訪日観光客消費者ホットライン」が国民生活センターに設置されている。

⑦ 2019(令和元)年度の「地方消費者行政の現況調査」によると、2019(平成31)年4月現在、全国のすべての市区町村に相談窓口が設置されており、配置されている相談員も全員が消費生活相談員の資格保有者である。

⑧ 消費者安全法では、都道府県に消費生活センター及び苦情処理委員会の設置を義務づける一方、市町村については、消費生活センターを設置するように努めなければならないとしている。

解説を読む前に、まずは何もない状態でいいので、問題を解いてください。この状態で、問題のレベルが何となくわかると思います。そのうえで、解説および動画解説、さらに、繰り返し学習、過去問さかのぼり繰り返し学習で、自分のものにしてください。繰り返し学習では解答を覚えてしまうことがありますが、ほかの人に説明するような感じで解答してください。また、1か月も空けば忘れてしまい、同じ問題を間違えます。このようにして、繰り返し学習により、ステップアップしてください。

解説 ※基本的に毎年度同じ解説※

出題分野と内容および傾向や難易度

  • 消費者行政の基本となる法律・行政施策・組織についての単発問題です。旧試験でも毎回出題され、基本的に正誤×選択で10問でしたが、新試験になってから、試験問題数が減ったのに伴い、8問になり、なおかつ、単純正誤問題になったことから易しくなったといえます。
  • ただし、法律は条文からの出題が多く、暗記問題でもあります。出題される問題は重要なポイントばかりですが、少し細かいところもあったりして、暗記をしていても正解しにくい問題もあります。
  • 一方、×になる問題は、文章の日本語のつながりに違和感があったりして予想することができます。
  • また、常識的に解釈したら正解できる問題もあります。
  • 過去問を繰り返し解いてみて、「何となく正解できる」感覚を身につけることが、相談員試験全体に共通して言えることです。問題1でも、その感覚を使う問題が出ていますので感じ取ってください。
  • 単純正誤問題であり、上記の感覚を使えば、そこそこ正解できますので、8問中6問以上の正答を目指してください。できれば、ここで満点を取っておけば楽になります。一方、引っ掛け問題等もあるので、ケアレスミスによる取りこぼしはできるだけ避けたいところです。
  • なお、消費者行政と関連法の問題は、繰り返し同じような論点が出題されます。前年と同じ論点が連続で出題されることもあるので、過去問はしっかり押さえておいてください。
  • 出題される問題は、消費者基本法、消費行政の重要施策(消費者基本計画)、消費者庁に関連する法律、消費者安全法(消費生活センター・消費者安全確保地域協議会について)などで、国民生活センターの業務や差止め請求の消費者団体に関することも出題されます。旧試験ではほかの分野も若干入ってましたが、新試験になってからは同じような傾向になっています。
  • 初めて出題されるわけわからない論点の問題があれば、捨て問題でOKです(確率1/2です)が、全く予想もつかないという問題は出ないと思います。
  • なお、○が続いたり、×が続いたりして不安になるかもしれませんが、新試験での傾向であり、気にしないでください。ただし、すべて○、すべて×は0点となりますのでご注意ください。
  • そして、試験本番での最初の問題ですので、緊張したり、冷静になれていなかったり、心理的に揺らいでいる状態かもしれません。ケアレスミスをしてしまうこともあると思います。問題1は易しい問題ですので、ここでペースを取り戻し、冷静になれるように心がけてください。
  • 標準的に5分あれば解けると思います。読みながら止まらずに答を出していってください。

出題分野および関連法令

  • 消費者基本法…理念、条文
  • 消費者施策…消費者基本計画、地方消費者行政強化作戦、自治事務
  • 消費者庁・消費者委員会…設置法、組織、役割、所管法令 ※問題2でも毎年ではないが頻出
  • 消費者安全法…消費生活センターの組織・設置義務、見守り活動(見守りネットワーク=消費者安全確保地域協議会)
  • 国民生活センターの業務…消費者庁との連携、国民生活センターの内部の事業、消費者向けの事業、相談員向けの事業、PIO-NET、情報収集システム
  • 消費者団体訴訟制度…消費者契約法により差止請求(適格消費者団体等の位置づけや役割)、消費者裁判手続特例法による被害回復(特定適格消費者団体)。差止請求は景品表示法、特定商取引法、食品表示法でも追加で対象となった。メインの消費者契約法でも出題される。

難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/8問中 ※満点目標※

ここで取りこぼさないことが重要(迷うとすれば①と⑧のみ)・ケアレスミスをしないように

2020年度 ※新試験5年目 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/8問中

  • 問題1① 消費者基本法(第11・12・15・16条・基本的施策)BC ※一般常識で対応可能
  • 問題1② 消費者基本法(消費者保護基本法からの改正)A ※ひっかけ
  • 問題1③ 消費者基本法(第19条・基本的施策・苦情処理)B ※重要基本事項
  • 問題1④ 消費者施策(地方消費者行政強化作戦 2020・自治事務)BC ※一般常識で対応可能
  • 問題1⑤ 消費者団体訴訟制度(消費者契約法・差止請求)B ※ひっかけ
  • 問題1⑥ 国民生活センター・訪日観光客消費者ホットライン B ※2019年度に出題
  • 問題1⑦ 地方消費者行政の現況調査(相談窓口の設置と相談員の資格保有) B ※一般常識で対応可能
  • 問題1⑧ 消費者安全法(第10条・消費生活センターの設置義務)BC ※変化球

出題分野としては、消費者基本法3問、消費者行政施策2問、国民生活センター1問、消費者安全法1問、消費者団体訴訟制度1問の合計8問で問題数は同じでしたが、分野が少しばらけました。頻出の「消費者基本計画」は「強化作戦2020」という形になっています。

過去問

【参考】2019年度(再試験) ※新試験4年目 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/8問中

  • 問題1① 消費者基本法(第5条・事業者の責務)A ※ラッキー問題
  • 問題1② 消費者基本法(第8条・消費者団体の責務)AB
  • 問題1③ 消費者基本法(第3条・国の責務)A ※ラッキー問題
  • 問題1④ 国民生活センター・訪日観光客消費者ホットライン BC
  • 問題1⑤ 消費者委員会の業務 BC ※頻出
  • 問題1⑥ 医療機関ネットワーク事業 B
  • 問題1⑦ 消費者安全法・消費生活センターの設置基準 B ※頻出・重要※引っ掛け問題
  • 問題1⑧ 消費者安全法・消費生活相談員の資質向上 AB ※重要

【参考】2019年度(本試験) ※新試験4年目 難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/8問中

  • 問題1① 消費者基本法(第5条・事業者の責務)A
  • 問題1② 消費者基本法(第7条・消費者の責務)A
  • 問題1③ 消費者基本法(第1条 目的・第2条 基本理念)B
  • 問題1④ 自治事務 BC ※24年度論文試験指定語句
  • 問題1⑤ 国民生活センター越境消費者センター(CCJ) A
  • 問題1⑥ 事故情報データバンクシステム AB
  • 問題1⑦ 消費者安全法・消費者安全確保地域協議会 BC
  • 問題1⑧ 消費者安全法・見守り活動への情報提供 BC ※変化球

【参考】30年度試験 ※新試験3回目

  • 問題1① 消費者基本法(第1条 目的・第7条 消費者の責務) A★☆ ※超基本
  • 問題1② 消費者基本法(第26条  消費者団体の自主的な活動の促進)B ※ちょっと悩むかも
  • 問題1③ 消費者基本計画(第27条 消費者政策会議)C★ ※主語がややこしい
  • 問題1④ 消費者行政新未来創造オフィス(徳島県)AB ※トピックス
  • 問題1⑤ 地方消費者行政強化作戦  AB ※平成28年度開始の重要消費者施策
  • 問題1⑥ 国民生活センター法の改正(消費者裁判手続特例法での担保金の援助)AB ※法律改正論点
  • 問題1⑦ 消費者安全法(第8条 都道府県の役割) AB★ ※常識対応可能
  • 問題1⑧ 消費者安全法(第10条 消費生活センターの設置) AB★ ※超重要・超頻出

【参考】29年度試験 ※新試験2回目

  • 問題1① 消費者基本法(第1条 目的) A★★☆
  • 問題1② 消費者基本法(第5条 事業者の責務等) A★
  • 問題1③ 消費者基本計画 BC
  • 問題1④ 消費者庁の所管法律 B★
  • 問題1⑤ 消費者委員会の事務(消費者教育) BC
  • 問題1⑥ 国民生活センター(PIO-NET) A☆
  • 問題1⑦ 消費者安全法(消費生活センターの設置義務) A★★
  • 問題1⑧ 消費者安全法(消費生活センターの管轄地域) AB

【参考】28年度試験 ※新試験1回目

  • 問題1① 消費者基本法(第1条 目的) A 
  • 問題1② 消費者基本法(第5条 事業者の責務等) A
  • 問題1③ 消費者基本計画(第5条 事業者の責務等) AB
  • 問題1④ 消費者庁の所管法律 BC
  • 問題1⑤ 消費生活相談員の定義(消費者安全法) A
  • 問題1⑥ ケネディ大統領の4つの権利 A
  • 問題1⑦ 公益通報者保護法 B
  • 問題1⑧ 国民生活センター越境消費者センター(CCJ) A

勉強方法とポイント ※問題2の消費者行政の歴史と合わせて学習※

消費者基本法と消費者安全法などの条文の問題は、参考書よりも、条文そのものを確認するほうが早いです。ポイントとしては、過去問でどのように出題されたかを確認します。できれば、新試験だけでなく、旧試験までさかのぼって確認してください。同じような問題が繰り返し出題されていることがわかると思います。

重要参考書「ハンドブック消費者2014(消費者庁発行)」 ※全文消費者庁のホームページから閲覧できます。

今となっては古くなりましたが、ほかの法律や消費者行政の歴史も含めてコンパクトにまとまっているので、2009年に消費者庁が創設されるまでと初期の施策についての全体像を学ぶのに適しています。私は非常に重宝しています。早く改訂版が出てほしいなあと思っているのですが、書籍として手元に置いておきたいです。

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ハンドブック消費者

「ハンドブック消費者」は、消費生活に関する各種法令・制度の解説に重点を置きつつ、消費者政策の状況、関係機関の活動状況等について、最新の情報を基に、その概況を幅広く収録したものであり、消費者行政関係者や一般の消費者がそれらについての理解を深めていただくことにより、消費者トラブルの未然防止・拡大防止につなげることを目的として作成しています。

最新版「ハンドブック消費者2014」は、全国官報販売協同組合より出版されています。官報販売所又はお近くの書店等でもお取り寄せできますので、ご注文ください。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/handbook/

アマゾンの中古は高いので、楽天等の中古などを探すしかないようですが、入手は難しいかもしれません。全ページをPDFでダウンロードできるので無理して大金を支払う必要はありません。また、上記で紹介している官報関係の販売所で在庫の有無をたずねてみるとよいかもしれません。

【テキスト】消費者問題・消費者行政の歴史(ハンドブック消費者2014)動画解説あり

問題1「消費者行政と関連法」・問題2「消費者行政の歴史」の学習用

【テキスト・動画解説】消費者行政の歴史(ハンドブック消費者2014)(48分35秒)(2020/10/06)