消費生活アドバイザー受験生のための経済問題の基本ポイント(動画解説あり)

アドバイザー試験を受験する卒業会員から、経済問題が難しすぎてわからないという相談がありました。W受験を含めてアドバイザー試験を受験する会員はいますか?同様の悩みがあるのなら、経済問題(2021年度試験でいうところの問題17・需要供給曲線・余剰分析・効用関数・ISLM曲線等のざっくりした基本解説(5点中3-4点を得点できる程度)をしようかなと思っています。➡ということで作成したコンテンツになります

  • アドバイザー試験の過去問等を利用するには主催者団体に許可(有料申請)が必要ですので、ここでは、そのままの形で過去問を利用することはできませんのでご了解ください。

2021年度試験では「余剰分析」が出題されていないので、2022年度試験のどの回かで出題されると思います。グラフの死荷重の場所を覚えておきましょう。

  • 消費生活アドバイザー試験の経済問題の簡易攻略法(イントロダクション動画)15分33秒

過去問出題分野・抜粋(経済)※手元にある分のみ

2021年度試験(4回分)問題17の出題分野

  • (10月3日午後)費用関数
  • (10月9日午後)IS-LM分析
  • (10月16日午前)マンデル・フレミングモデル
  • (10月16日午後)効用関数

2020年度

  • 問題29 マンデル・フレミングモデル
  • 問題30 効用関数

2019年度

  • 問題27 消費関数
  • 問題28 マンデル・フレミングモデル

2016年度

  • 問題1 費用関数
  • 問題2 消費関数
  • 問題3 IS-LM分析
  • 問題4 供給曲線

知らないと難しい経済問題のパターン

  • 試験形式が変わる(問題数が減少する)前は2問出題されていたが、2021年度試験からは1問に減少
  • ただし、試験回数が4回に増えたので分散して漏れなく出題されるので、すべての分野の対策が必要
  • 経済問題(マクロ経済・ミクロ経済)は大学の授業レベルの内容なので一般人には難しい。
  • ただし、基本ばかりが問われるので、ちょっと知ってるだけで正解できる。
  • 深い意味を考えても理解できないので、出題パターンのモデルを表面的に学習しておく。
  • 経済は「なぜ?」を深く追求しないことがポイント
  • それぞれ5問出題されるが、3-4問は正解できる。問題が分からなくても、答えのパターンで正解できる。
  • 例えば、関係する専門用語が選択肢の中で1つだけ(流動性のわな、クラウディングアウト)。
  1. 【ミクロ経済】効用関数
  2. 【ミクロ経済】費用関数
  3. 【ミクロ経済】余剰分析
  4. 【ミクロ経済】余剰分析(貿易の利益)
  5. 【マクロ経済】消費関数
  6. 【マクロ経済】IS-LM分析
  7. 【マクロ経済】マンデル・フレミングモデル

1.効用関数 ※2021年度試験(10月16日午後)

  • 限られた予算内で2つの物を買おうとしたときに、どちらをどれだけ買えば一番満足できるかの組み合わせ(価格由来)
  • グラフを書く。下記のパターンで組み合わせのグラフ上の点が変わってくる
  • 片方の価格が上がたっときに、それを減らして別の方を多く買う。同じグラフ上で組み合わせが変わってくる(代替効果)
  • 収入が増えるなどして、予算が上がる場合はグラフ全体が移動する(2つともたくさん買うことができる)
  • グラフの原点から遠いほど満足度が上がる
  • 上級財・正常財(所得が増加すると需要量が増加する)、下級財・劣等財(所得が増加すると需要量が減少する)、
  • 代替財(カメラとフィルム(カメラの価格需要によりフィルム価格も一緒に変わる))

2.費用関数(生産者行動)

  • 費用関数は何か:生産したときにかかる費用のこと
  • 固定費(家賃など)と変動費(原材料費)がある
  • 固定費は生産量に関わらず必要、変動費は生産量が多くなると増加する
  • グラフにすると、単純には縦軸に切片(固定費)がある右上がりの直線(縦軸は費用、横軸は生産量)
  • 【ポイント】実際のグラフは直線ではなく逆S字曲線になる(費用関数という)
  • 逆S字の理由は生産量が少ない時はコストが余分にかかり。生産量が増えるに従い効率的になりコストが減っていく、しかし、生産量を増やしすぎると逆にコストが増加するという理屈(何となく想像できますよね)。総収入(直線)と逆S字の交点が損益分岐点(=逆S字の変化点)となり、逆S字との切片が利潤最大点となる。※動画説明では不足もしくは間違えてるかも
  • 費用=固定費+変動費(可変費用)これに利益を上乗せして販売価格となる
  • 価格=費用+利益=固定費+変動費+利益
  • 1個の価格について考える・・・平均費用、平均可変費用は最初は効率悪く費用がかかり、慣れてきて低くなり、増やしすぎると上がるというU字型。U字の最低点が一番効率的。
  • 限界費用(こういう呼び方をすると割り切る)=1個増やすための費用(安い方がよい)・・・同じU字型。
  • 平均費用曲線と平均可変費用曲線に限界費用曲線が交わってくる。平均可変費用曲線との交点が操業停止点(可変費用はまかなえる)。平均費用曲線との交点が損益分岐点。それらの価格を意識して販売価格を決める。

3.余剰分析

  • グラフを書いてみる(2本)
  • 消費者余剰と生産者余剰はどこか(面積・塗る)
  • 消費者余剰+生産者余剰=総余剰
  • 何らかの政策(課税・補助金)で、グラフの片方が動く
  • 動くとどうなるのかというのが出題される
  • 動く前と、動いた後で、面積が変わる
  • 課税と補助金で死荷重の場所は決まっているので理由は理解せずとも場所だけ覚えておけば正解できる
  • 消費者余剰と生産者余剰の面積が増減する
  • 総余剰は減少するというパターン
  • 減少した部分(面積)が「死荷重」とよばれる。
  • それぞれの面積、死荷重、三角形もしくは四角形はどれか問われる(答のパターンは同じなので、知らなくても直感的に正解できる)

※右下の部分は動画で解説していないので、ここで追記しておきます。

4.余剰分析(自由貿易の利益)

  • 余剰分析で、国際価格が安ければ輸入したほうが、国際価格が高ければ輸出したほうが、社会全体(総余剰)ではプラスになる、という理論
  • それぞれで、増加する余剰や、輸出量、輸入量は図のどれかという問題
  • 【発展】国際価格が安いから輸入した場合は全体では社会的余剰は最大化するが、国内生産者は価格対抗できず売れなくなるので困る
  • そこで、輸入したときに「関税」をかけるとどうなるか?という問題
  • 予想はつくと思うが、「死荷重」が発生するので、そこは図のどこかという問題(これもパターン)
  • 【2020年度試験 問題29】動画で解説するのを忘れていたのですが、問題には図(グラフ)は書かれておらず、3つの数式が書かれているのですね。お分かりのとおり、この3つの数式は、このグラフの右肩上がり直線、右下下がり直線、水平直線の3本になるので、実際にグラフを書けばわかりやすいです。そして、この数式に、与えられた数字を代入して計算していくと答えが出ます(少し面倒)。あざやかに答えが出ると気持ちいい。
  • マンデル・フレミングモデルとグラフの形は同じだが、こちらは水平線が上下に動く

5.消費関数

  • 消費関数は複数の数式を合体させるという数学的な手順がある
  • 大きくは2つの関数
  • 消費関数 C=cY+A
  • 消費は収入(Y)に応じて消費する額(収入増えたら増えた額に応じて何か買おうかな)=収入の一定の額を消費に向ける=一定の割合を限界消費性向=c(割合なので0<c<1)、例えばc=0.7など
  • A=「収入に関係なく消費する額(生活費=食費、光熱費、住居費など)」=基礎消費(独立消費)
  • Yのうち消費に振り分けられなかった場合は貯蓄に振り分けられると考える=S(貯蓄)=Y(収入)-C(消費)=Y-(cY+A)=(1-c)Y-A、限界貯蓄性向=1-c
  • 個人の収入や消費は大きくまとめれば国民全体の収入や消費と同じと考えられる。ただし、消費(C)のほかに投資(I)や政府支出(G)があり、さらに輸出入の収支=輸出(EX)-輸入(IM)がある。
  • すると、Y=C+I+G+EX-IMとなり、冒頭のC=cY+Aを代入すると、Y=cY+A+I+G+EX-IMとなる。ほかにも税金(T)がある。
  • ただし、数式が複雑すぎるので、G、EX-IM、Tはないという単純なケースで考えることが多い。Y=cY+A+I、Y=C+A+I。
  • 問題のパターンとして、式と具体的な数値が与えられていて、GDP=Yを求めよ、などの数値を計算する。2つの式に数値を代入して、2つの式をがたちさせると計算できる。
  • 応用問題のパターンとして乗数理論がある。
  • 投資(I)や政府支出(G)を増加させると、増加させた額以上の国民所得(Y)となる。どのぐらいの増加(効果)=乗数効果があるのかというのが問題となる。説明理論だったり数字だったり。その乗数が投資(I)の場合は「投資乗数」や政府支出(G)の場合は「政府支出乗数」という。乗数は上の式を分解してそろえると、ともに、1/1-c(分母が1-c)となる。
  • 租税乗数もあるが難しいのでパス。ちなみに租税乗数というが、c/1-c(分母が1-c)。
  • パターンとしては、投資(I)を1増やすとGDPはどれだけ変化するか、など。2つの式と数値が与えられるので代入して式を作り計算する。

6.IS-LM分析

  • 出題される論点は、国民所得を増加させたい➡拡張的な財政政策または金融政策をする、というモデル
  • 国民所得(横軸)と利子率=金利(縦軸)
  • IS曲線(右下がりの直線・財市場=金利)、LM曲線(右上がりの直線・貨幣市場=お金の流通量)※こういうものだと割り切る
  • 交差しているところが均衡点(利子率と国民所得の組み合わせ)
  • 拡張的な財政政策(政府支出の増加=公共事業などの投資)をするとIS曲線が右(交点が上)に平行移動する※試験に出るのはたいていこちら)※交点が上に行く
  • 拡張的な金融政策(お金の流通量を増やす=日銀が銀行から国債を買い上げる)をするとLM曲線が左(交点が上)に平行移動する※交点が上に行く
  • 拡張的ではなく、緊縮的な政策をすれば、反対に移動(ただし、出題されるのは拡張なので、緊縮は無視して、拡張の2パターン、もっといえば、財政政策のみを覚える)
  • 交点がどう動くのかが問われる
  • 【ポイント・言葉だけでも記憶に】LM曲線が右上がりではなく、水平部分があって右上がりになる場合(水平部分は利子率が変わらない)は水平部分で右側に移動しても(拡張的金融政策=お金をたくさん流通させる)、交点は移動しないので、国民所得が増えないので「流動性のわな」とよばれる。超低金利時代。
  • 【ポイント・言葉だけでも記憶に】拡張的財政政策によりIS曲線が右側に移動(政府支出の増加)すると、一時的に国民所得は増加するが、その後、利子率も増加(LM曲線との交点)することになり、投資が抑制されるので、国民所得は減少する。これを「クラウディングアウト」という。図で見ると分かりやすい
  • 余剰分析と同じようなグラフ

7.マンデル・フレミングモデル

  • 「小国の仮定」とくれば「マンデル・フレミングモデル」と余剰分析(自由貿易の利益)
  • 余剰分析(自由貿易の利益)は水平線が上下に動くのに対して、「マンデル・フレミングモデル」は斜めの直線が左右に動く(いくつのパターンがあるから難し目)
  • 問題に図が書かれていない場合でも、基本の図を書く
  • 右下がりのIS曲線(直線)と右上がりのLM曲線(直線)にBP曲線という水平線が増える
  • BP曲線は均衡する国際収支の利子率で、自国の利子率がここよりも高ければ円が買われ資本が流入する。逆に、低ければ円が売られ資本が流出する。
  • マンデル・フレミングモデルは「IS-LM分析」を国際収支の視点で分析するもので、財政政策と金融政策によりどのように変化するのかという問題(IS-LM分析と同じパターンの問題)
  • 条件が4パターンあって、資本移動が「ない場合」と「完全にある場合」、「変動相場制」と「固定相場制」の場合の8パターン。ただし、出題されるのは、資本移動が「完全にある場合」と「変動相場制」である場合であり、問題文中には資本移動が「完全にある場合」は書かれていないことが多いので無視して、「変動相場制」である場合、というのは必ず書かれている。
  • 結論から言うと、資本移動が完全で変動相場制である場合は、拡張的な金融政策は有効であり、拡張的な財政政策は無効である。
  • いくつかの相場の変化の文章題が出れば、「風が吹けば桶屋が儲かる」的な理屈を順番に考える。
  • 拡張的な金融政策=金融緩和政策(最近の日本)➡LM曲線が右に移動(自国通貨じゃぶじゃぶ)➡利子率の低下=金利の低下=円の価値の下落➡円が売られる=自国資本の流出=自国資本の減少➡円安ドル高に➡輸入減少・輸出増加➡国際収支は黒字(円での収入が多くなりドルでの支出が減るので収入の方が大きくなり貿易は黒字)➡輸出が増加するので国内での生産量は増加する=IS曲線が右に移動➡国民所得が増加する➡拡張的な金融政策は成功する
  • 拡張的な財政政策=公共投資➡IS曲線が右に移動➡利子率の上昇(IS-LM分析と同じ)=金利の上昇=円の価値の上昇➡円が買われるの=外国資本ドルの流入=自国資本の減少➡円高ドル安に➡輸出減少・輸入増加➡国際収支は赤字(円での支出が多くなりドルでの収入が減るので支出の方が大きくなり貿易は赤字)➡輸入が増加するので国内での生産量は減少する=IS曲線が左に戻り最初の状態になる➡国民所得は増加しない➡拡張的な財政政策は失敗する ※クラウディングアウト

試験範囲(経済)・・・要項・消費者庁資料・テキスト

3. 消費者のための経済知識
 (1) 経済一般と経済統計の知識
 (2) 企業経営一般知識
 (3) 金融の知識
 (4) 生活経済
 (5) 地球環境問題・エネルギー需給

https://www.nissankyo.or.jp/adviser/siken/2022-test.html

3.消費者のための経済知識
(1)経済一般と経済統計の知識
①我が国経済の発展及び活動の特徴
②我が国の財政及び資本の特徴と問題点
③景気変動、物価変動の原因と種類及び対策
④国際貿易、国際収支及び外国為替相場の仕組み
⑤需要と供給の仕組み、産業構造の変化、市場経済のメカニズム
⑥調査及び調査結果分析の方法
⑦経済統計の考え方と特性、種類
⑧主たる経済統計の概要
⑨経済統計と景気の見方及び国民経済計算の仕組み

https://www.cao.go.jp/consumer/history/05/kabusoshiki/torihiki_rule/019/gijiroku/index.html

3 経済一般
知識
・マクロ経済
・市場メカニズム、需要と供給
・消費者行動と生産者行動 他
経済統計の知識
・経済統計を扱うための基礎知識、経済統計の見方
企業経営の一般知識
・経営戦略、経営分析、消費者行動、マーケティング戦略 他
金融の知識
・金融知識と消費者保護、金融分野の新しい動き
生活経済
・税金と社会保障費
・家計の構造と収入・支出
・家計における貯蓄と負債

https://www.nissankyo.or.jp/adviser/examination/shiken-taisaku.html

関連リンク(一般財団法人日本産業協会)

  • 試験問題は基本的に公式テキストに準拠して出題されるので、専門相談員試験のようなわけのわからない意地悪問題が出題されるのではなく、どこにでもある教科書的な基本問題が出題されます。その分、暗記問題が基本となるのがつらいところですが。
  • 公式テキストは昔に比べたらボリュームは少なくなっていますので、勉強時間が十分にある場合は公式テキストで勉強するのがいいかもしれません(テキストの暗記ですので)。時間がない場合のテキストは、消費生活アドバイザー受験対策本になり、項目ごとにコンパクトにまとめられているので、そこに書いていないことは捨てるという割り切りでもいいと思います。ただし、2022年度版は発売されなかったので2021年度版を探して購入することになります。なお、2021年度試験から試験方式が変更になり、試験時間問題とも少なくなっていますので、影響があるのかもしれません。

【丸善出版】消費生活アドバイザー受験合格対策 2021年版 単行本 – 2021/6/2(7150円)

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