2023年度 問題10 民法(正誤×選択)その1(一般公開)

10.次の文章のうち、下線部が2ヵ所とも正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。
※以下は、民法に関する問題である。

① 法定後見制度を利用するために事理弁識能力を欠く常況にある本人から請求があった場合には、家庭裁判所は㋐後見開始の審判をすることができる。任意後見制度は、本人自らが任意後見人となる者と任意後見契約を締結するもので、この契約は㋑あらかじめ公正証書によって行う必要がある

② 未成年者が法律行為をする場合には、法定代理人の同意が必要である。未成年者が父母の親権に服する場合、原則として、法定代理人である㋐父母双方の同意が必要である。法定代理人の同意は、未成年者が自ら法律行為を取り消す場合、㋑必要である

③ 契約の当事者は、㋐法令の制限内において、契約内容を自由に決定することができる。また、㋑法令に特別の定めがある場合を除き、契約成立に書面の作成は不要である

④ 代金支払いと同時に商品を引き渡すこととする売買契約において、売主が約定に従って商品を引き渡さないので、買主が代金の支払いを行わなかった場合、買主の代金支払債務は履行遅滞と㋐ならない。商品の引渡しと代金の支払いが済んだ後に契約が解除された場合、売主と買主はそれぞれ原状回復義務を負担するが、㋑売主から代金の返還があるまで買主は商品の返還を拒むことができる

⑤ 商品の売買契約を民法上の詐欺を理由に取り消した当事者が、商品の受領時に取消しができることを知らなかった場合、契約時に意思無能力又は行為無能力であれば、㋐現に利益を受けている限度で返還義務を負う。最高裁判所の判例では、いわゆるヤミ金融業者が元利金等の名目で違法に金員を取得する手段として著しく高利で貸し付けた場合、元本について、借主は㋑返還する義務を負うとされている。

解説・ポイント ※問題9を参照してください※

  • 民法では2つの大問題が出題されています。問題形式としては最初に「正誤問題」と2問目に「穴埋問題」でしたが、「穴埋問題」の形式がなくなったことから、「正誤問題」しかも、「正誤×選択」という難しい形式になりました。また、穴埋め問題ではテーマが1つに絞られていましたが正誤問題になったことから別々の単独の5問の正誤問題になっています。2024年度以降も1つが10問程度の正誤○×問題、もう1つが5問の正誤×選択問題の15点分になるのではないかと思います。
  • 今回の「正誤×選択」問題の特徴としては、民法でも複数の条文がミックスされて問題になっているということです。問題9が基本的に1つの条文からの出題だったのに対し、問題10は難易度が高くなっているということです。

2023年度 難易度(A易、B普通、C難)目標:3問以上/5問中

  • 問題10① 法定後見・任意後見(民法第7条)C
  • 問題10② 未成年者契約・取消し(第5条・第120条・第818条)B
  • 問題10③ 契約自由の原則(第521条・第522条)B
  • 問題10④ 双務契約・債務不履行・同時履行の抗弁(第533条)C
  • 問題10⑤ 原状回復・最高裁判例(第121条の2・第708条)B

【(参考)2023年度 問題9 民法(正誤○×)難易度(A易、B普通、C難)目標:6問以上/10問中】

  • 問題9① 公序良俗違反(第90条)AB
  • 問題9② 申込みの撤回(第525条)BC
  • 問題9③ 無権代理(第116条)AB
  • 問題9④ 取得時効(第162条第2項)BC
  • 問題9⑤ 法定利率(第404条)BC
  • 問題9⑥ 特定物の引渡し(第484条)C
  • 問題9⑦ 事業資金の保証契約(第465条の6第1項)B
  • 問題9⑧ 定型約款の内容表示(第548条の3第1項) C
  • 問題9⑨ 賃貸借契約での修繕費用(第606条)BC
  • 問題9⑩ 契約不適合による担保責任(第637条)BC

過去問(新試験以降の分)※穴埋問題の分※

  • 2022年度(令和4年度)問題10 成年後見制度 ※難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/5問
  • 2021年度(令和3年度)問題11 錯誤取消し ※難易度(A易、B普通、C難)目標:3問以上/5問中
  • 2020年度(令和2年度)問題12 時効 ※難易度(A易、B普通、C難)目標:1-3問以上/5問中
  • 2019年度(令和元年度)本試験 問題12 代理 ※難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/5問中
  • 2019年度(令和元年度)再試験 問題12 成年後見制度 ※難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/5問中
  • 2018年度(平成30年度)問題12 民法(取消し・解除)※難易度(A易、B普通、C難)目標:3問以上/5問中
  • 2017年度(平成29年度)問題12 民法(建物賃貸借契約)※難易度(A易、B普通、C難)目標:4問以上/5問中
  • 2016年度(平成28年度)問題13 民法(無効・取消し)※難易度(A易、B普通、C難) A 目標:5問/5問中