2023年度 問題12⑥~⑩ 特定商取引法(正誤○×)その3
12. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※以下は、特定商取引法に関する問題である。
⑥ 特定継続的役務提供契約を締結した際に関連商品も購入していた場合、特定継続的役務提供契約のクーリング・オフをしていなくても、特定継続的役務提供契約についての特定商取引法の規定に基づき、関連商品の契約についてクーリング・オフをすることができる。
⑦ 連鎖販売取引において、電子メール広告の受取りを希望しない旨を申し出る方法及び申出先を、統括者が明示しているときは、当該統括者は、消費者の承諾がなくても、電子メール広告をすることができる。
⑧ 連鎖販売加入者が連鎖販売契約を中途解約した場合、当該連鎖販売契約の締結から1年を経過していても、当該連鎖販売加入者は、その連鎖販売業に係る商品の販売契約を解除することができる。⑨ 業務提供誘引販売契約においては、クーリング・オフ期間を経過した後も、中途解約をすることができる。
⑩ 訪問購入において、購入業者が、クーリング・オフ期間中に、売買契約の相手方である消費者から引渡しを受けた物品を第三者に引き渡したときは、遅滞なく、当該消費者に、物品を引き渡した第三者の氏名や住所などを通知しなければならない。
問題12⑥ 特定継続的役務・関連商品のクーリングオフ(第48条第2項) AB
⑥ 特定継続的役務提供契約を締結した際に関連商品も購入していた場合、特定継続的役務提供契約のクーリング・オフをしていなくても、特定継続的役務提供契約についての特定商取引法の規定に基づき、関連商品の契約についてクーリング・オフをすることができる。
- 関連商品のクーリングオフという相談現場の実務でも非常に重要な制度になります。
- 関連商品とは元々の特定継続的役務提供契約において、必要なものとして合わせて契約した例えば化粧品などを指します。
- 関連商品のクーリングオフは、もともとの特定継続的役務提供契約を解除(クーリング・オフ)した時に合わせて解除(クーリング・オフ)できるという制度になっており、関連商品だけの解除はできません。超重要な基本ポイントですので少しでも勉強したことがあるのであれば知っている簡単な問題です。普通に考えても、そうだよなと思うのではないでしょうか。
- 関連商品は役務ごとに対象となる商品が決まっていたり、契約書面に記載が必要など、多くのルールがあり、実務でも重要ですので逐条解説を読んでみることをおすすめします。エステでは化粧品が対象となっていますが、使ってしまった化粧品が対象となるかどうかが論点となっている問題も多く、自ら使った場合は対象外であり、事業者からの働きかけにより使った場合は対象となるという論点もあります。
したがって、⑥は×(誤っている文章)になります。
特定商取引に関する法律
(特定継続的役務提供等契約の解除等)
第四十八条
2 前項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除があつた場合において、役務提供事業者又は販売業者が特定継続的役務の提供に際し特定継続的役務提供受領者等が購入する必要のある商品として政令で定める商品(以下この章並びに第五十八条の二十二第二項、第五十八条の二十六第一項及び第六十六条第二項において「関連商品」という。)の販売又はその代理若しくは媒介を行つている場合には、当該商品の販売に係る契約(以下この条、次条及び第五十八条の二十二第二項において「関連商品販売契約」という。)についても、前項と同様とする。ただし、特定継続的役務提供受領者等が第四十二条第二項又は第三項の書面を受領した場合において、関連商品であつてその使用若しくは一部の消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該役務提供事業者又は当該販売業者が当該特定継続的役務提供受領者等に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)は、この限りでない。
逐条解説 第4章 特定継続的役務提供
335ページ
2 第2項については、関連商品に係るクーリング・オフについて定めたものである。
特定継続的役務提供に係る取引に際しては、役務の提供に際しその相手方が購入する必要のある商品の販売が併せて行われる場合が多い。このような場合において、役務提供契約に係るクーリング・オフが認められても、当該商品の販売に係る契約についてもクーリング・オフが認められないと相手方が十分に保護されないことになる。
このため、こうした商品に係る販売契約についてもクーリング・オフをすることができることとするものである。ただし、取引の安定性を確保する観点から、クーリング・オフを行使することができる商品は、特定継続的役務ごとに、政令で指定する商品(「関連商品」)に限るとともに、関連商品についてクーリング・オフができるのは本体の契約がクーリング・オフされた場合に限られる。300ページ
イ 「当該役務(権利の行使による役務)の提供に際し当該役務の提供を受ける者(当該特定継続的役務の提供を受ける権利の購入者)が購入する必要のある商品」(第1号)について
「当該役務(権利の行使による役務)の提供に際し当該役務の提供を受ける者(当該特定継続的役務の提供を受ける権利の購入者)が購入する必要のある商品」とは、役務提供事業者等により販売又は代理若しくは媒介されるものであって、当該商品を購入しないと役務の提供を受けられないものを指す。なお、クーリング・オフ及び中途解約の対象となる関連商品はこれらのうち、政令で定められたものに限られる(法第48 条の解説を参照)。
なお、特定継続的役務提供の関連商品(詳細は法第48 条の解説を参照)については、原則として契約締結時の書面に全て記載することとなる。したがって、契約の変更について消費者との合意がない限り、当該書面に記載されていない関連商品を追加で購入させることはできない。仮に正当な理由により、契約の締結後に関連商品の追加・変更等の必要が生ずることが想定される場合には、交付書面において、追加・変更等の可能性及びその際の取扱いについて、あらかじめ特約として記載しておくことが望ましい。337ページ
⑵ いわゆる消耗品のクーリング・オフについて
第2項ただし書きは、消費者が関連商品のうちいわゆる消耗品を「使用し又は……消費」してしまった場合にはクーリング・オフができなくなる旨を定めたものである。消耗品の場合には、一度開封したり、その一部を使用又は消費したりしただけでもその商品価値が全くなくなってしまうものが多い。このような消耗品について、その使用又は消費後もクーリング・オフを認めることは、関連商品の販売を行った者に不合理な負担を過度に負わせることとなるので、クーリング・オフができる場合を限定している。ウ 「使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該役務提供事業者又は当該販売業者が当該特定継続的役務提供受領者等に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)」
なお、役務提供事業者等が商品を販売したときにその場で消費者を促してその商品を使わせたような場合は、本項本文の原則に戻り、所定の期間内はクーリング・オフできることとなる。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/law/r4.html
問題12⑦ 連鎖販売・電子メール広告 AB
⑦ 連鎖販売取引において、電子メール広告の受取りを希望しない旨を申し出る方法及び申出先を、統括者が明示しているときは、当該統括者は、消費者の承諾がなくても、電子メール広告をすることができる。
- 承諾をしていない者に対する電子メール広告は禁止されているという基本的なルールに従って判断すればいいです(いわゆる「オプトイン規制」という言葉も覚えてください)。
- 「電子メール広告の受取りを希望しない旨を申し出る方法及び申出先を、統括者が明示しているとき」とありますが、広告をする場合に明示すべきことであり、承諾をしていない場合は禁止であることには変わりありません。
したがって、⑦は×(誤っている文章)になります。統括者という聞きなれない言葉が出てきてるかもしれませんが惑わされないようにしてください。
逐条解説 第3章 連鎖販売取引
234-235ページ
趣 旨
https://www.no-trouble.caa.go.jp/law/r4.html
電子メールによる広告の提供については、その容易性や低廉性から統括者等が何度もかつ時間に関わりなく送信することが可能という特性があり、相手方の側で開封・廃棄等に時間を浪費させられたり、受信料の負担がかかったりすることもあるなどの問題を有している。そのほか、広告メールを見て取引に入った消費者がトラブルに巻き込まれる事例も見られた。
このようなトラブルへの実効ある規制として請求や承諾のない電子メール広告を原則禁止(いわゆる「オプトイン規制」)することで、消費者保護を図ることとした。
特定商取引に関する法律
(承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止等)
第三十六条の三 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、次に掲げる場合を除き、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について、その相手方となる者の承諾を得ないで電子メール広告をしてはならない。
一 相手方となる者の請求に基づき、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引に係る電子メール広告(以下この章において「連鎖販売取引電子メール広告」という。)をするとき。
二 前号に掲げるもののほか、通常連鎖販売取引電子メール広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として主務省令で定める場合において、連鎖販売取引電子メール広告をするとき。
2 前項に規定する承諾を得、又は同項第一号に規定する請求を受けた統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、当該連鎖販売取引電子メール広告の相手方から連鎖販売取引電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示を受けたときは、当該相手方に対し、連鎖販売取引電子メール広告をしてはならない。ただし、当該意思の表示を受けた後に再び連鎖販売取引電子メール広告をすることにつき当該相手方から請求を受け、又は当該相手方の承諾を得た場合には、この限りでない。
3 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、連鎖販売取引電子メール広告をするときは、第一項第二号に掲げる場合を除き、当該連鎖販売取引電子メール広告をすることにつきその相手方の承諾を得、又はその相手方から請求を受けたことの記録として主務省令で定めるものを作成し、主務省令で定めるところによりこれを保存しなければならない。
4 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、連鎖販売取引電子メール広告をするときは、第一項第二号に掲げる場合を除き、当該連鎖販売取引電子メール広告に、第三十五条各号に掲げる事項のほか、主務省令で定めるところにより、その相手方が連鎖販売取引電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をするために必要な事項として主務省令で定めるものを表示しなければならない。
5 前二項の規定は、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者が他の者に次に掲げる業務の全てにつき一括して委託しているときは、その委託に係る連鎖販売取引電子メール広告については、適用しない。
一 連鎖販売取引電子メール広告をすることにつきその相手方の承諾を得、又はその相手方から請求を受ける業務
二 第三項に規定する記録を作成し、及び保存する業務
三 前項に規定する連鎖販売取引電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をするために必要な事項を表示する業務
特定商取引に関する法律施行規則
(連絡方法の表示)
第七十六条 法第三十六条の三第四項の主務省令で定めるものは、次のいずれかの事項とし、当該事項は、当該連鎖販売取引電子メール広告の本文に容易に認識できるように表示しなければならない。
一 電子メールアドレス(相手方が連鎖販売取引電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をすることができるものに限る。)
二 電子情報処理組織において識別するための文字、記号その他の符号若しくはこれらの結合(電子計算機に入力されることによつて当該電子計算機の映像面に表示される手続に従うことにより、相手方が連鎖販売取引電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をすることができるものに限る。)又はこれに準ずるもの
問題12⑧ 連鎖販売・中途解約 BC
⑧ 連鎖販売加入者が連鎖販売契約を中途解約した場合、当該連鎖販売契約の締結から1年を経過していても、当該連鎖販売加入者は、その連鎖販売業に係る商品の販売契約を解除することができる。
- 連鎖販売の中途解約に関して商品の返品等に関する頻出の重要論点です。
- 連鎖販売取引自体の契約には中途解約の規定があり、定められた賠償金を支払って解除することができます。中途解約した時にすでに契約している商品(受け取っている場合と受け取っていない場合とで金額の計算方法が異なってきます)についての返品についても可能ではありますが、元々の契約締結から1年以内という条件があります。1年という期間の理由としては、連鎖販売取引というのはいわゆる利益を上げるためにやっているものであり契約から1年も経てばビジネスとして慣れた者になるので、もはや救済を必要とする消費者とは言えなくなるとイメージしてもらったらいいと思います。
- 日本語的に考えると、問題文に「1年を経過していても解除することができる」という例外条件が書かれていますが、わざわざ1年という数字が出てきておきながら解除できるというのは日本語的にもおかしく、いかにも引っ掛け問題であり、「1年を経過していると解除することができない」ということを論点にしているということが予想できると思います。
- 解除料の算定は少し複雑ですが下記に紹介している表を参考にしてください
したがって、⑧は×(誤っている文章)になります。
- (修正後の正しい問題文の例)連鎖販売加入者が連鎖販売契約を中途解約した場合、当該連鎖販売契約の締結から1年を経過していると、当該連鎖販売加入者は、その連鎖販売業に係る商品の販売契約を解除することができない。
※1年を経過していない場合、消費の引渡し後90日以内など、解除の要件があります。
特定商取引に関する法律
第四十条の二 連鎖販売加入者は、第三十七条第二項の書面を受領した日から起算して二十日を経過した後(連鎖販売加入者が、統括者若しくは勧誘者が第三十四条第一項の規定に違反し若しくは一般連鎖販売業者が同条第二項の規定に違反して前条第一項の規定による連鎖販売契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は統括者、勧誘者若しくは一般連鎖販売業者が第三十四条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに前条第一項の規定による連鎖販売契約の解除を行わなかつた場合には、当該連鎖販売加入者が、その連鎖販売業に係る統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者が同項の主務省令で定めるところにより同項の規定による当該連鎖販売契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して二十日を経過した後)においては、将来に向かつてその連鎖販売契約の解除を行うことができる。
2 前項の規定により連鎖販売契約が解除された場合において、その解除がされる前に、連鎖販売業を行う者が連鎖販売加入者(当該連鎖販売契約(取引条件の変更に係る連鎖販売契約を除く。)を締結した日から一年を経過していない者に限る。以下この条において同じ。)に対し、既に、連鎖販売業に係る商品の販売(そのあつせんを含む。)を行つているときは、連鎖販売加入者は、次に掲げる場合を除き、当該商品の販売に係る契約(当該連鎖販売契約のうち当該連鎖販売取引に伴う特定負担に係る商品の販売に係る部分を含む。以下この条において「商品販売契約」という。)の解除を行うことができる。
一 当該商品の引渡し(当該商品が施設を利用し又は役務の提供を受ける権利である場合にあつては、その移転。以下この条において同じ。)を受けた日から起算して九十日を経過したとき。
二 当該商品を再販売したとき。
三 当該商品を使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該連鎖販売業に係る商品の販売を行つた者が当該連鎖販売加入者に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)。
四 その他政令で定めるとき。
3 連鎖販売業を行う者は、第一項の規定により連鎖販売契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、契約の締結及び履行のために通常要する費用の額(次の各号のいずれかに該当する場合にあつては、当該額に当該各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額を加算した額)にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を連鎖販売加入者に対して請求することができない。
一 当該連鎖販売契約の解除が当該連鎖販売取引に伴う特定負担に係る商品の引渡し後である場合 次の額を合算した額
イ 引渡しがされた当該商品(当該連鎖販売契約に基づき販売が行われたものに限り、前項の規定により当該商品に係る商品販売契約が解除されたものを除く。)の販売価格に相当する額
ロ 提供された特定利益その他の金品(前項の規定により解除された商品販売契約に係る商品に係るものに限る。)に相当する額
二 当該連鎖販売契約の解除が当該連鎖販売取引に伴う特定負担に係る役務の提供開始後である場合 提供された当該役務(当該連鎖販売契約に基づき提供されたものに限る。)の対価に相当する額
4 連鎖販売業に係る商品の販売を行つた者は、第二項の規定により商品販売契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を当該連鎖販売加入者に対して請求することができない。
一 当該商品が返還された場合又は当該商品販売契約の解除が当該商品の引渡し前である場合 当該商品の販売価格の十分の一に相当する額
二 当該商品が返還されない場合 当該商品の販売価格に相当する額
5 第二項の規定により商品販売契約が解除されたときは、当該商品に係る一連の連鎖販売業の統括者は、連帯して、その解除によつて生ずる当該商品の販売を行つた者の債務の弁済の責めに任ずる。
6 前各項の規定に反する特約で連鎖販売加入者に不利なものは、無効とする。
7 第三項及び第四項の規定は、連鎖販売業に係る商品又は役務を割賦販売により販売し又は提供するものについては、適用しない。
- テキストより抜粋・・・【連鎖販売】中途解約のルールまとめ「第40条の2(第1項~第4項)の構成」の図がわかりやすい
【逐条解説】第3章 連鎖販売取引 256ページ
第1項(連鎖販売契約の中途解約)⇒第3項(中途解約に伴う損害賠償の制限)⇒第2項(商品販売契約の解除)⇒第4項(商品販売契約の解除に伴う損害賠償の制限)
連鎖販売の中途解約は難しいので、分からなかったら捨て問でもいいです。
- 中途解約は「連鎖販売加入者を締結した日から1年を経過していない者に限る」➡本項の趣旨は、取引に不慣れな個人が大量の在庫を抱えてしまうことによるトラブルを防止することにあり、また、この制度は、一度有効に成立した商品販売契約を一定の条件はあるものの遡及的に無効にするという重大な法効果を伴うものであることから、本項の適用対象を連鎖販売加入者のうち、連鎖販売契約を締結して販売組織に入会してから1年を経過していない者に限ったものである。
- 中途解約で商品販売契約を解除することができなくなる場合の一つとして、商品の引渡し(権利の移転を含む。)を受けてから90 日を経過した場合 ※商品売買契約から90日ではなくて商品の引き渡しから90日ということがポイント ※商品の売買契約はしているけど引渡し前の場合も中途解約できます。なお、賠償額としては10%が上限になっています。
- 店舗等を構えて営業する場合には解除権・取消権などの対象外。
問題12⑨ 業務提供誘引販売・中途解約(第52条)BC
⑨ 業務提供誘引販売契約においては、クーリング・オフ期間を経過した後も、中途解約をすることができる。
- 特定商取引法で中途解約ができるのは連鎖販売取引と特定継続的役務提供の2つの取引累計になります。
- 業務提供誘引販売契約については、連鎖販売取引のように永続的に契約が続いたり継続的に販売する商品を購入したりすることはないですし、特定継続的役務提供のように同じサービスで回数消化していない残りがあるというわけではないような感じですので、何をもって中途解約をするのか分からないと思います。
したがって、⑨は×(誤っている文章)になります。ありそうでない悩ましい問題かもしれません。
テキストより抜粋
- 「業務提供誘引販売業」の定義を条文から抜き出すと、その要件は下記のとおりです。
「業務提供誘引販売業」とは、
①物品の販売又は有償で行う役務の提供の事業であつて、
②その販売の目的物たる物品又はその提供される役務を利用する業務に従事することにより得られる利益を収受し得ることをもつて相手方を誘引し、
③その者と特定負担を伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんに係る取引をする
ものをいう。
言い換えると、①対象が商品の販売もしくは役務の提供であり、②利益を得るとの期待を抱かさせて商品等を購入するように誘い、③商品の購入代金等の特定負担の契約をするものです。この3つの要件がそろっていないと業務提供誘引販売にはなりません。
問題12⑩ 訪問購入・第三者売却・クーリングオフ BC
⑩ 訪問購入において、購入業者が、クーリング・オフ期間中に、売買契約の相手方である消費者から引渡しを受けた物品を第三者に引き渡したときは、遅滞なく、当該消費者に、物品を引き渡した第三者の氏名や住所などを通知しなければならない。
- 訪問購入で消費者が事業者に商品を引き渡した場合に、事業者は当然早くそれを転売したいと考えるでしょう。ただ、消費者がクーリングオフした場合には、その商品を消費者に返還しなければなりません。しかし、すでに売り渡していた場合に、その返還ができなくなるという懸念があります。そこでクーリングオフ期間内に商品を第三者に売り渡す場合は、売り渡したことをなどの事項を消費者本人や引き渡した第三者に通知する義務を課したものです。なかなか不思議な規定になりますが重要ポイントなので覚えておいてください。
したがって、⑩は〇(正しい文章)になります。
特定商取引に関する法律
(第三者への物品の引渡しについての相手方に対する通知)
第五十八条の十一 購入業者は、第五十八条の八第一項各号のいずれかに該当する売買契約の相手方から物品の引渡しを受けた後に、第三者に当該物品を引き渡したときは、第五十八条の十四第一項ただし書に規定する場合を除き、その旨及びその引渡しに関する事項として主務省令で定める事項を、遅滞なく、その売買契約の相手方に通知しなければならない。
(物品の引渡しを受ける第三者に対する通知)
第五十八条の十一の二 購入業者は、第五十八条の八第一項各号のいずれかに該当する売買契約の相手方から物品の引渡しを受けた後に、第五十八条の十四第一項ただし書に規定する場合以外の場合において第三者に当該物品を引き渡すときは、主務省令で定めるところにより、同項の規定により当該物品の売買契約が解除された旨又は解除されることがある旨を、その第三者に通知しなければならない。
※「第五十八条の十四第一項ただし書に規定する場合」…クーリングオフ期間が経過後の場合
逐条解説 第5章の2 訪問購入
427-428ページ
趣旨
https://www.no-trouble.caa.go.jp/law/r4.html
訪問購入においては、売買契約の相手方が購入業者に対して、任意で物品を引き渡した場合であっても、購入業者はクーリング・オフ期間内当該物品を保管し、クーリング・オフが行われた場合は当該物品を確実に相手方に返還できるようにしておくことが望ましい。しかしながら、一度物品を購入業者に引き渡してしまうと、第三者への転売等により、物品を元々所有していた相手方がクーリング・オフをしても、引き渡した物品そのものが返却されないおそれが高くなり、クーリング・オフを認めた趣旨が没却される可能性がある。
そこで、クーリング・オフの実効性を担保できるようにするため、法第58 条の14 第3項の規定と併せて本条を規定し、原状回復に必要となる情報を売買契約の相手方が取得できるようにしたものである。これにより、相手方はクーリング・オフを行使した際、より確実に物品の返却を実現することができるようになると考えられる。法案の国会提出段階においては、購入業者が相手方に対する通知をする必要があるのは、相手方がクーリング・オフを行い、かつ当該通知をすることを求めた場合のみとする制度設計が行われていた。しかし、国会審議の過程において、クーリング・オフ期間内に物品を誰が保管しているのか等の情報について、相手方が認識しておくことは消費者保護の観点から重要であるとの判断から、同期間内に購入業者が第三者に物品を引き渡したときは、相手方に通知することを義務付けることとされた。
特定商取引法ガイド >特定商取引法とは >訪問購入
7.第三者への物品の引渡しについての契約の相手方に対する通知(法第58条の11)
事業者は、契約の相手方から物品の引渡しを受けた後、クーリング・オフ期間内に第三者に当該物品を引き渡したときは、以下の事項を、遅滞なく、相手方に通知しなければなりません。
- 第三者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
- 物品を第三者に引き渡した年月日
- 物品の種類
- 物品名
- 物品の特徴
- 物品又はその附属品に商標、製造者名若しくは販売者名の記載があるとき又は型式があるときは、当該商標、製造者名若しくは販売者名又は型式
- その他相手方が第三者への物品の引渡しの状況を知るために参考となるべき事項
8.事業者が物品を引き渡した第三者への通知(第58条の11の2)
事業者は、契約の相手方から物品の引渡しを受けた後、クーリング・オフ期間内に第三者に当該物品を引き渡すときは、以下の事項を、施行規則の様式第5又は様式第6による書面にて、第三者に通知しなければなりません。
- 第三者に引き渡した物品が訪問購入の契約の相手方から引渡しを受けた物品であること
- 相手方がクーリング・オフを行うことができること
- 相手方がクーリング・オフできる期間に関する事項
- 事業者が相手方に対して法第58条の8の書面を交付した年月日
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
- 事業者が物品を第三者に引き渡す年月日
- 物品の種類
- 物品名
- 物品の特徴
- 物品又はその附属品に商標、製造者名若しくは販売者名の記載があるとき又は型式があるときは、当該商標、製造者名若しくは販売者名又は型式
※既に相手方がクーリング・オフを実行している場合は、当該事実並びに上記1及び5~10の事項を書面に記載する。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorpurchases/
【正答】
⑥→×、⑦→×、⑧→×、⑨→×、⑩→○