1.次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄にマークしなさい。

⑤消費者が消費安全性を欠く商品を使用して火災が生じた場合は、消費者の生命又は身体に被害が生じていなくても消費者安全法の「重大事故等」に該当するため、都道府県知事が当該情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に通知しなければならない。

⑥消費者安全法では、消費生活相談員は、消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事若しくは市町村長が認める者でなければならないとされている。

⑦消費者安全法では、複数の市町村が連携して消費生活相談等の事務を処理することができるとされているが、広域的に連携した消費生活センターはまだ設置されていない

⑧公益通報者保護法は、勤務先の不正を通報した人を保護する法律であり、厚生労働省及び消費者庁が共同で所管している。

問題1⑤ 消費者安全法(第2条第6項・重大事故の定義+第12条第1項・重大事故の通知)B ※重要・頻出

⑤消費者が消費安全性を欠く商品を使用して火災が生じた場合は、消費者の生命又は身体に被害が生じていなくても消費者安全法の「重大事故等」に該当するため、都道府県知事が当該情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に通知しなければならない。

  • この問題は重大事故の定義と重大事故の通知という2つの条文が含まれている複合問題になります。
  • 前者の重大事故の定義については頻出重要項目であり、特に「火災」の場合は身体被害がなくても重大事故に該当するというパターンです。2022年度問題1⑦と同じですので、解説も同じです。
  • 「消費者の生命又は身体に被害が生じていなくても」とあるので、「身体被害がないから重大事故等に該当しない」と勘違いしないように。試験本番ではなぜか油断してしまいます。
  • 「生命身体事故等(法第2条第5項)」の要件として、「実際に被害が発生した事故(法第2条第5項第1号)」と「被害は発生していないが事故の発生のおそれのある事態(法第2条第5項第2号)」の2つが定義づけられています。
  • さらに、「生命身体事故等(法第2条第5項)のうち、要件を満たした場合に重大事故となります。
  • 「実際に被害が発生した事故(法第2条第5項第1号)」の場合は、政令要件(死亡、負傷又は疾病(30日以上の治療期間)、一酸化炭素中毒)
  • 「被害は発生していないが事故の発生のおそれのある事態(法第2条第5項第2号)」の場合は、政令要件(劣化、毒劇物、窒息、火災)※「火災」以外は気にしなくてもいいです(窒息もへ~という程度で)。
  • 問題の前半に注力しすぎて後半はスルーしがちですが、実は後半も少しひっかけポイントがあります。それが「直ちに」というところになります。※そこを引っ掛けるのは意地悪問題になります。
  • 第12条第1項の重大事故は「直ちに」(情報入手時から数時間以内)、第2項の重大事故のおそれがあるのものは「速やかに」となっています。この通知制度についても2021年度問題1④に出題されています。
  • なお、内閣総理大臣に通知とありますが、実務的には消費者庁に通知することになります。

したがって、⑤は○(正しい文章)です。

消費者安全法
(消費者事故等の発生に関する情報の通知)
第十二条 行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、内閣府令で定めるところにより、その旨及び当該重大事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない
2 行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、消費者事故等(重大事故等を除く。)が発生した旨の情報を得た場合であって、当該消費者事故等の態様、当該消費者事故等に係る商品等又は役務の特性その他当該消費者事故等に関する状況に照らし、当該消費者事故等による被害が拡大し、又は当該消費者事故等と同種若しくは類似の消費者事故等が発生するおそれがあると認めるときは、内閣総理大臣に対し、内閣府令で定めるところにより、当該消費者事故等が発生した旨及び当該消費者事故等の概要その他内閣府令で定める事項を通知するものとする。
3(以下省略) 

消費者安全法
(定義)
第二条 
5 この法律において「消費者事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。
一 事業者がその事業として供給する商品若しくは製品、事業者がその事業のために提供し若しくは利用に供する物品、施設若しくは工作物又は事業者がその事業として若しくはその事業のために提供する役務の消費者による使用等に伴い生じた事故であって、消費者の生命又は身体について政令で定める程度の被害が発生したもの(その事故に係る商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるものを除く。)
二 消費安全性を欠く商品等又は役務の消費者による使用等が行われた事態であって、前号に掲げる事故が発生するおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するもの
三 前二号に掲げるもののほか、虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって政令で定めるものが事業者により行われた事態
6 この法律において「生命身体事故等」とは、前項第一号に掲げる事故及び同項第二号に掲げる事態をいう。
7 この法律において「重大事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。
一 第五項第一号に掲げる事故のうち、その被害が重大であるものとして政令で定める要件に該当するもの
二 第五項第二号に掲げる事態のうち、前号に掲げる事故を発生させるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するもの

消費者安全法施行令
消費者の生命又は身体について被害が発生した事故が重大事故等に該当することとなる要件)
第四条 法第二条第七項第一号の政令で定める要件は、消費者の生命又は身体について次の各号のいずれかに該当する程度の被害が発生したこととする。
一 死亡
二 負傷又は疾病であって、これらの治療に要する期間が三十日以上であるもの又はこれらが治ったとき(その症状が固定したときを含む。)において内閣府令で定める程度の身体の障害が存するもの
三 一酸化炭素その他の内閣府令で定める物質による中毒

(消費安全性を欠く商品等又は役務の使用等が行われた事態が重大事故等に該当することとなる要件)
第五条 法第二条第七項第二号の政令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 第二条第一号に該当し、かつ、次のイ又はロのいずれかに該当すること。
イ 当該商品等又は当該役務の使用等において、物品(飲食の用に供するものを除く。)、施設又は工作物の消費安全性を確保する上で重要な部分に、破損、故障、汚染又は変質その他の劣化が生じていたこと。
ロ 当該商品等又は当該役務の使用等において、物品(飲食の用に供するものに限る。)に、毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)第二条第一項に規定する毒物若しくは同条第二項に規定する劇物、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第四十四条第一項に規定する毒薬若しくは同条第二項に規定する劇薬又はこれらと同等の毒性若しくは劇性を有する物質が含まれ又は付着していたこと。
二 前号に掲げるもののほか、当該商品等又は当該役務の使用等において、消費者に窒息その他その生命若しくは身体に対する著しい危険が生じ、又は火災その他の著しく異常な事態が生じたこと。

【2022年度 問題1⑦ 消費者安全法(第2条第6項・重大事故の定義)B】
⑦ 消費者安全法において、消費者が消費安全性を欠く商品を使用し、火災が生じた場合、消費者の生命又は身体に被害が生じていなくても、「重大事故等」に該当する。
【正答】⑦→○(正しい文章)              

【2022年度 問題1④ 消費者安全法(第12条第1項・重大事故の通知)BC】
④ 消費者庁が消費者行政の司令塔としての役割を担うためには、消費者事故に関する情報を一元的に集約する必要があるため、消費者安全法では、行政機関、地方公共団体及び国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、その旨及び当該重大事故等の概要等を通知しなければならないとされている。
【正答】④→○(正しい文章)                          

【テキスト】消費者安全法

生命身体事故等(法第2条第5項)
〈被害が発生した事故〉(法第2条第5項第1号)⇒重大事故・・・死亡、負傷又は疾病(30日以上の治療期間)、一酸化炭素中毒
〈事故発生のおそれのある事態〉(法第2条第5項第2号)⇒重大事故の発生のおそれ
財産に関する事態(法第2条第5項3号)⇒多数消費者財産被害事態

「消費者事故等(第2条第5項)」の定義を「生命身体事故等(第2条第6項)」「重大事故等(第2条第7項)」と関連させると3つに分類される

①商品や役務で身体被害が発生したもの(明らかに「消費安全性を欠くもの」ではないものを除く)
⇒定義「生命身体事故等」(第2条第6項)に該当
(ステップアップ)⇒政令要件に該当すれば定義「重大事故等」(第2条第7項第1号)に該当
⇒政令要件は施行令第4条(死亡、30日以上の治療、一酸化炭素中毒)

②商品や役務の消費安全性を欠く場合で身体被害が発生するおそれがあるもの 
⇒定義「生命身体事故等」(第2条第6項)に該当
(ステップアップ)⇒政令要件に該当すれば定義「重大事故等」(第2条第7項第1号)に該当
政令要件は施行令第5条(劣化、毒劇物、窒息、火災

③【第3号】財産被害のおそれがあるものが行われた
⇒定義「生命身体事故等」(第2条第6項)に該当
(ステップアップ)⇒第2条第8項第1号第2号に該当すれば「多数消費者財産被害事態」

問題1⑥ 消費者安全法(第10条の3第1項・消費生活相談員の要件)AB

⑥消費者安全法では、消費生活相談員は、消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事若しくは市町村長が認める者でなければならないとされている。

  • 消費生活相談員の要件という受験生の皆さんにとって、この試験を受けて資格を取得するという根拠になります。
  • 実は少し奥深くて、前半の「消費生活相談員資格試験に合格した者」というのはわかるとして、後半の「都道府県知事若しくは市町村長が認める者」というのはどんな意味があるのだろうかと思いませんか?
  • これは国家資格を持っていなくても相談業務につけるという救済ルールになります。特に地方では有資格者の人材不足が顕著であり資格がなければ相談員の仕事ができないとなれば困ることになります。また、古くから相談員をしている場合には資格を持たないまま今に至っていることも少なくありません。高齢になってしまい、今更試験を受けても合格できない(不合格になると恥ずかしい)という思いから試験を受けずの無資格相談員もいるのではないかと思います。また、地方では資格がなくても相談員として採用されることがあり、できるだけ早く資格を取得してといわれるようです。勉強部屋では現職の無資格相談員の合格者を多く輩出しています。そのほかにも、国家資格を持っていない旧3資格の所有者などになります。
  • 消費者安全法が制定された(2009年9月1日)時は国家資格はまだ制度化されていませんでしたが、国家資格が制定された後に消費者安全法が改正され、「消費生活相談員」が法律に明記されるという画期的な改正になります(2016 年4月1日改正)。
  • 【旧の3資格「消費生活専門相談員」「消費生活アドバイザー」「消費生活コンサルタント」】
    この条文では新資格の国家資格「消費生活相談員資格」しか出てきませんが、旧の3資格「消費生活専門相談員」「消費生活アドバイザー」「消費生活コンサルタント」の所有者も実務経験や指定講習会の受講があれば国家資格の合格者とみなされる経過措置もありました(2016 年4月1日時点で要件を満たす場合は今でもみなし合格となりますが、細かい解説は省略)。ただし、消費生活センターに就職する場合は、この旧3資格も応募要件となっている場合がほとんどであり、これも都道府県知事若しくは市町村長が認める者」ということになります。(参考・みなし合格)国民生活センター「消費生活専門相談員資格に関するご質問と回答(Q&A)[PDF形式](362KB)

したがって、⑥は○(正しい文章)です。

消費者安全法
(消費生活相談員の要件等)
第十条の三 消費生活相談員は、内閣総理大臣若しくは内閣総理大臣の登録を受けた法人(以下「登録試験機関」という。)の行う消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事若しくは市町村長が認める者でなければならない。
2 消費生活相談員は、消費生活を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、消費生活相談(第八条第一項第二号イ及びロ又は第二項第一号及び第二号の規定に基づき都道府県又は市町村が実施する事業者に対する消費者からの苦情に係る相談及びあっせんをいう。以下同じ。)に関する知識及び技術の向上に努めなければならない。
3 第一項の消費生活相談員資格試験(以下単に「試験」という。)は、消費生活相談を行うために必要な知識及び技術を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。
一 商品等及び役務の特性、使用等の形態その他の商品等及び役務の消費安全性に関する科目
二 消費者行政に関する法令に関する科目
三 消費生活相談の実務に関する科目
四 その他内閣府令で定める科目
4 試験(登録試験機関の行うものを除く。)を受けようとする者は、内閣府令で定めるところにより、手数料を国に納付しなければならない。
5 前二項に定めるもののほか、試験の受験手続その他の実施細目は、内閣府令で定める。

問題1⑦ 消費者安全法(第8条第3項・相談業務の広域連携)BC

⑦消費者安全法では、複数の市町村が連携して消費生活相談等の事務を処理することができるとされているが、広域的に連携した消費生活センターはまだ設置されていない。

  • 規模が小さい市町村が単独で消費生活相談窓口や消費生活センターを設置できないこともあると思います。そんな時は他の市町村と一緒に相談窓口やセンターを設置するというのが現実的な方法になります。その根拠となるのが消費者安全法第8条第3項に規定されています。前半に書かれている問題文になります。そこを誤り問題にすることは考えにくいです。※Aである、ではBは正しいか?のパターン
  • では法律で規定されている連携した相談窓口やセンターが実際にあるのかどうかということが後半で問われています。細かいところで言えば、相談窓口ではなく、消費生活センターが問題の対象となっています。※法律的には相談窓口と消費生活センターは区別されています。分かりやすく言えば相談窓口の中で要件を満たすものは消費生活センターとイメージしてください。
  • 知らなくても一般常識で考えると、現実的には設置されているだろうと考えるのが普通です。
  • 具体的な設置数については毎年度公表される「地方消費者行政の現況調査」に書かれていますので、もしかしたら見たことがある人がいるかもしれませんが、少し気がつきにくいところなのでスルーしてしまうかもしれません。
  • 「地方消費者行政の現況調査」には、消費生活センターや消費生活相談窓口の設置状況や消費生活相談員の数や資格の所有者数などの統計数字が公表されており、問題2の消費者行政施策の中で出題されることが増えています。別途「地方消費者行政の現況調査」の記事も作成しています。→地方消費者行政の現況調査
  • (参考)令和6年度地方消費者行政の現況調査(令和6年10月)では「1.相談窓口の状況(1)市区町村(政令市を除く。)における相談窓口(消費生活センターを含む。)の設置状況」の中で、令和6年4月1日現在の相談窓口設置の市区町村数1721=センター設置1132(単独設置736+広域連携396)+相談窓口設置589(単独設置589+広域連携0)となっています。ちなみに、広域連携の相談窓口の設置数は0になっていますが以前は設置されていました。広域連携の消費生活センターにシフトしていったのでしょうね。

したがって、⑦は×(誤っている文章)となります。

消費者安全法
(都道府県及び市町村による消費生活相談等の事務の実施)
第八条 都道府県は、次に掲げる事務を行うものとする。
一 次項各号に掲げる市町村の事務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整及び市町村に対する必要な助言、協力、情報の提供その他の援助を行うこと。
二 消費者安全の確保に関し、主として次に掲げる事務を行うこと。
イ 事業者に対する消費者からの苦情に係る相談のうち、その対応に各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とするものに応じること。
ロ 事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんのうち、その実施に各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とするものを行うこと。
ハ 消費者事故等の状況及び動向を把握するために必要な調査又は分析であって、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
ニ 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、消費者安全の確保のために必要な情報を収集し、及び住民に対し提供すること。
三 市町村との間で消費者事故等の発生に関する情報を交換すること。
四 消費者安全の確保に関し、関係機関との連絡調整を行うこと。
五 前各号に掲げる事務に附帯する事務を行うこと。
2 市町村は、次に掲げる事務を行うものとする。
一 消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情に係る相談に応じること。
二 消費者安全の確保に関し、事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんを行うこと。
三 消費者安全の確保のために必要な情報を収集し、及び住民に対し提供すること。
四 都道府県との間で消費者事故等の発生に関する情報を交換すること。
五 消費者安全の確保に関し、関係機関との連絡調整を行うこと。
六 前各号に掲げる事務に附帯する事務を行うこと。
3 都道府県は、市町村が前項各号に掲げる事務を他の市町村と共同して処理しようとする場合又は他の市町村に委託しようとする場合は、関係市町村の求めに応じ、市町村相互間における必要な調整を行うことができる。
4 第一項各号に掲げる事務に従事する都道府県の職員若しくはその職にあった者又は第二項各号に掲げる事務に従事する市町村の職員若しくはその職にあった者は、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

問題1⑧ 公益通報者保護法(第1条・目的+所管)C

⑧公益通報者保護法は、勤務先の不正を通報した人を保護する法律であり、厚生労働省及び消費者庁が共同で所管している。

  • 近年話題の公益通報者保護制度です。その所管が問われているという細かい問題になります。一般常識で考えたいところです。
  • 単純な正解は、公益通報者保護法(2004年6月18日公布、2006年4月1日施行)が制定された時には厚生労働省が所管していましたが、消費者庁が創設されたことにともない消費者庁に移管し、消費者庁が単独で所管することになりました(2009年9月1日施行)。
  • まず消費者の取引に関わる多くの法律が消費者庁の創設により消費者庁に移管されました。その時に、①所管も執行も消費者庁というパターン②他の省庁と共同で所管(共管)しているパターン③所管は消費者庁だけれども執行機関は別の省庁というパターンがあります。法律ごとの細かい区分は細かすぎてキリがないのでスルーしてもいいと思います。
  • 公益通報のイメージとしては「法令違反を通報する」ものになり、その通報先はその法律に関連する省庁になると考えるなら、今回の問題のように厚生労働省と消費者庁が共同で所管しているのではなく、消費者庁が単独で所管し、厚生労働省やその他の省庁は通報窓口(執行機関)となっていると考えるとわかりやすいかもしれません。消費者庁が司令塔の役割ということですね。ちなみに公益通報の対象となる法律は約500本あります。
  • 厚生労働省は労働に関する業務をしているので「公益通報した労働者を守る」という意味でも、この問題に厚生労働省が出てきたのかもしれませんが、どちらかというと実務的にそれを執行する機関と考えた方が素直ですし、もし厚生労働省を入れるのであれば他の省庁も入ってくるかもしれないなとイメージすると直感的に厚生労働省だけが入るのは違うのではないかと推測されます。
  • といいながらも、労働者を守るといえば労働関連法制度を運用している厚生労働省であり、消費者庁と共管しているのではないかと悩むかもしれませんが、冒頭で説明したとおり、消費者庁が創設される前は厚生労働省が所管だったのです。消費者庁創設にともない労働関連の枠を超えて広く消費者保護を推進する目的で消費者庁が単独で所管し、その他の省庁等が執行機関となったのです。
  • 公益通報がニュースになり社会問題になることも少なくありません。今後は公益通報制度が出題される頻度が上がってくる可能性もあります。ちなみに過去出題されたことはありますが、なかなか難しい制度なので、公益通報の要件などの細かいところの出題はないと思いますので、概要を一般常識的に知っておけばいいのではないかなと思います。

公益通報とは、①労働者・退職者・役員が②役務提供先(又はその役員、従業員、代理人その他の者)について③通報対象事実(通報の対象となる法令違反)が生じ、又はまさに生じようとしている旨を④一定の通報先に通報すること

したがって、⑧は×(誤っている文章)となります。

公益通報者保護法
(目的)
第一条 この法律は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置等を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「公益通報」とは、次の各号に掲げる者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、当該各号に定める事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)(以下「役務提供先」という。)又は当該役務提供先の事業に従事する場合におけるその役員(法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令(法律及び法律に基づく命令をいう。以下同じ。)の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう。以下同じ。)、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該役務提供先若しくは当該役務提供先があらかじめ定めた者(以下「役務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関若しくは当該行政機関があらかじめ定めた者(次条第二号及び第六条第二号において「行政機関等」という。)又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該役務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第三号及び第六条第三号において同じ。)に通報することをいう。

消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 公益通報・事業者連携・物価 > 公益通報者保護制度 > Q&A集

Q1
公益通報者保護法とはどのような法律ですか。
A
公益通報者保護法は、労働者・退職者・役員が、役務提供先である事業者における法令違反を認識し、事業者の内部や外部(権限を有する行政機関等や報道機関等)へ公益通報をした場合に、公益通報をしたことを理由として解雇その他不利益な取扱いを受けることのないよう、どこへどのような内容の通報を行えば公益通報として法的に保護されるのかを明確にするとともに、公益通報者の保護と法令の規定の遵守のために必要な措置等について定めた法律です。

Q2
公益通報とはどのようなものですか。
A
公益通報とは、労働者・退職者・役員が、役務提供先の不正行為を、不正の目的でなく、一定の通報先に通報することをいいます。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/faq

消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 公益通報・事業者連携・物価 > 公益通報者保護制度 > 公益通報者保護法と制度の概要

国の行政機関向けガイドライン
・内部の職員等からの通報に関するガイドライン
 本文[PDF:295KB]

(5)消費者庁の役割等
① 消費者庁は、国の行政機関における内部公益通報対応体制の適切な整備及び運用を図るため、又は個別の通報事案に対する適切な対応を確保するために必要があると認めるときは、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、各行政機関に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。
② 消費者庁は、法の施行状況を把握するため、国の行政機関における内部公益通報受付窓口の設置及び運用状況、通報への対応状況、職員等への研修の実施状況等について調査を行い、その結果を公表する。
③ 消費者庁は、内部公益通報対応体制の適切な整備及び運用に関して、各行政機関の職員への周知、研修等を実施するとともに、各行政機関が当該行政機関の職員等に対して同様の取組を行うに際して、資料の提供、説明その他必要な協力を行う。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview

厚生労働省
ホーム > 申請・募集・情報公開 > 公益通報者の保護

公益通報者の保護
公益通報者保護制度は、国民生活の安心や安全を脅かすことになる事業者の法令違反の発生と被害の防止を図る観点から、公益のために事業者の法令違反行為を通報した事業者内部の労働者に対する解雇等の不利益な取扱いを禁止するものです。

厚生労働省においては、公益通報者保護法に基づき、公益通報窓口を設置し、公益通報の受付を行うとともに、受理した公益通報については、通報に関する秘密を保持し、必要な調査を行い、通報対象事実があると認められる場合には、法令に基づく処分又は勧告等の措置を講じます。

https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/kouekitsuhousha/index.html

【正答】
⑤→〇、⑥→〇、⑦→×、⑧→×

このページの印刷画面を開く